寝る前に読む小話

寝る前に1分ほどで読める小話です(フィクションとノンフィクションまぜこぜです)。読者になっていただけると欣喜雀躍喜びます

冬の海

鎌倉の七里ヶ浜にパシフィックドライブインというカフェがある。

名前の通り、テイクアウトがメインのお店で、車の人たちがふらっと立ち寄り食事を買って車に戻る。カリフォルニアのロードサイドにあるバーガー屋のような風体だ。

そこで働いている人たちは海の匂いがする。真っ黒に焼けて、髪も金髪で、ビーチボーイズ、ビーチガールズだ。店にあって、とても良い。

「でも、彼らって、夏はいいけど、冬はどうしてるんだろうね」

「南半球いくんじゃない」

「あるいは、スノボとか?」

「なるほど。夏はサーフィン、冬はスノボ」

たまたま、そんな会話をテーブルでしていると、店員さんがその会話を耳にしていたらしく、話かけてくれた。

「違いますよ。冬の海こそいいんですよ。夏の海はみなのものです。多くの人がきます。カップルも家族も。でも、冬の海にくる人は少ないです。私だけのものって感じがするんです」

なんだかそこに示唆がある、と思った。