寝る前に読む小話

寝る前に1分ほどで読める小話です(フィクションとノンフィクションまぜこぜです)。読者になっていただけると欣喜雀躍喜びます

今年、一番美味しかった飲み物

「今日、今年一番うまいものを口にしたんだ」

 - え、なになに。気になる

「お前のいま目の前にあるそれだよ」

- 水?

「そう。今日、久しぶりにランニングしたんだよ。30分くらい。雨は振ってなかったけどジメジメして暑かった。で、喉が乾くわけ。そして、帰ってきて飲んだ水のうまさ。あの美味さはド級だね。天変地異、事件だよ。思わず叫んじゃったよ。『こんなうまいものを世の中に放っていいのか』って」

- あー、わかる気がする。喉が渇いた時の水って美味しいよね。ご飯も空腹が一番のご馳走というし。

「そうそう。それで思ったんだけどさ、その水が美味しいのって、要は、自分の身体が求めているからでしょ。身体がその水を欲しいから、美味しく感じさせているわけだよ、きっと」

- なるほど

「だとすれば、自分が美味しいと感じるものって、自分の身体が必要としているものなのね」

- あー、お肉とか食べたい時ってそういうものなのかもね

「でさ、それを応用するとさ、こうも考えられるんじゃないの。恋人とキスしたら唾液が口に入ったり、あるいは汗をなめたりすることもあるじゃん。その味で、その人との相性診断ってできないのかな」

- 匂いはそういうのあるっていうよね。『いい匂い』と思う人の方が、遺伝子的に遠くにいる人で、遺伝子的には、遠い遺伝子と子孫を残した方がいいから、いい匂いに感じるって。だから、自分の父親は逆に、遺伝子が近すぎて遺伝子を残さないように臭いように感じるとか

「なるほどね」

- でも、そう考えると、お酒ってどうなんだろうね。お酒好きな人は、身体がお酒を求めてるのかな?あんまり栄養価とかなさそうだけど。

「うーん。でも、身体がお酒を欲している時ほど、美味しく感じたりはあるかもね『お酒飲まない辛い』という時には、お酒を美味しく感じさせて、飲ませて、辛いことを忘れさせるとか」

- 身体が私を酔わせる、と。

「だね。でもそういう観点では珈琲とかどうなんだろうね」

- 身体の体液がコーヒーでできてるんじゃない。だから、輸血代わりに珈琲を飲みたくなるんじゃない

「なるほどってアホなこと言ってないで、それ飲み干して。あなたの身体はそれを欲しているようだから。そして二軒目行こう」

- はーい。私も体液はワインでできているのかも