麦茶が似合う彼女
- コンビニに寄って帰ろうよ
と彼女が言う。初夏のビアガーデンは酔いを促進させる。コンビニで冷たいものを飲んで帰ることには賛成だ。
近所のファミリーマートは普段と同じ日常で。この変わらなさが心地よい。店員の移り変わりだけは多いけれど。
白いワンピースと茶色のサンダルはコンビニの蛍光灯より眩しくて。これでコンビニのBGMがよくわからないラジオみたいなものではなくて、サマーソングだったらいいのに、と思う。
彼女はパタパタとサンダルを響かせて、コンビニの扉から麦茶を取る。麦茶か。水ではなく、お茶。そして麦茶。
理由なく、「この子とはうまくやれそうだな」と思った。
麦茶を見ると夏を思い出す。そして、遠い実家に思い出す。いつしかお茶といえば、健康によさそうな烏龍茶になってしまったけれど、逆にそれが麦茶の思い出をカプセル化して、記憶の脳裏に埋め込んだ。麦茶とは田舎であり、そして、夏の象徴なのだ。
「麦茶いいね」
- 麦茶いいでしょ
とはにかむ彼女にはビールよりも麦茶がよっぽど似合っていた。
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以下の記事からの発想です