ハロウィンに何を着るの
「ねえ、ハロウィンはコスプレしないの」と、まだ布団の中にいる彼に聞く。
「うーん。して欲しいの?何を着ればいいかわからないよ」。ベッドで寝返りをうつ彼。
「なりたい自分になってみるというのはどう?」と言うと、そうだねえ、と彼は乗り気ではなさそうな声が帰ってきた。
〜
そしてハロウィン当日になり、私はいま彼のコスプレを楽しみに部屋で待っている。寝室でガサゴソと着替える彼。彼なりに、なりたい自分を考えて、衣装を買ってきたようだ。ドンキの黄色い袋がそれを物語っている。
医者かな、パイロットかな、それともスーパーマンかな。想像は広がる。彼は一体、何になりたかったのか。私の知らない彼の一面を見ることができる。なぜか私までドキドキして、彼が出て来るのを待っていた。
「着替えたよ。どう?」
寝室から出てきた彼が身につけていたものは学生服だった。
- 体育祭にでも出てろよ
と思った。