眠る前に読む小話

寝る前に1分ほどで読める小話です(フィクションとノンフィクションまぜこぜです。最近テクノロジーをテーマにしたものに凝ってます)。読者になっていただけると欣喜雀躍喜びます あとスターも励みになります!

風に吹かれるドローン

ドローンを買った。子供が喜ぶと思ったからだ。

ゴールデンウィークに飛ばそうと思った。休みだから何か子供が喜ぶことをしたかった。

せっかくだから、ちゃんとしたドローンを買おうと思ったら3万円もした。高い。200g以下だから、無人航空機だ。

部屋で飛ばすと、事件になりそうなほどの音がした。これはだめだな、と思って、マンションの窓から外を見ると、隣に駐車場があった。

あそこから飛ばせばいい。ゴールデンウィークの3日目は晴れていたので、外で飛ばすと気持ちいいな、と思った。

子供の手を引いて、もう片方の手にはドローンを持って、駐車場に向かう。

スイッチを入れるとブオーンという声をあげてドローンが空を飛ぶ。ああ、いいじゃん。

まるで正月の凧揚げのような。21世紀の凧揚げはドローンになるのだ。

そんなことを考えていたら、風に流されたのかドローンが、マンションの方に向かう。

「いかん」と思い、コントローラーをいじると、ドローンは加速してマンションに突っ込んでいった。そして、一階の家の壁にぶつかって落ちた。一階の家は庭がある家で、その庭に落ちたのだろう。

スイッチを押したが動かない。ドローンが人様の庭に落ちた。

野球のボールを人の庭に放り込んでしまったことってあったかな。あれはドラえもんで見ただけだっけな、と現実逃避をする。

子供は「どっかいっちゃったドローン」という。

現実に戻り、仕方ないので、そのマンションの一階の家を訪れる。「ピンポーン」と押すが誰もでない。ゴールデンウィークだからどこかにいっているのだろう。

しょうがないので、外からそのマンションの庭に入ることにした。壁は1メートルだから飛び越えれるだろう。ドローンもそこに見えている。

誰も見ていないのを確認し、飛び込む。心臓がドキドキする。でも、さっとドローンを拾って、もう一度、壁を飛び越えた。ドローンは、庭から、ぽいと子供に投げた。子供はちゃんと受け取ってくれた。

スイッチをおすともう一度ドローンは動き出した。ひっくり返っていたから動けなかっただけなんだろう。

このカメラで撮れた映像には、僕が壁を飛び越えているシーンが映ってるかな。子供はそれをみて笑ってくれるだろうか。