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寝る前に読む小話

寝る前に1分ほどで読める小話です(フィクションとノンフィクションまぜこぜです)。読者になっていただけると欣喜雀躍喜びます

赤みさす頬

おしゃれな人だな、と思っていた。

緑のスーツやピンク色のシャツ。体型に合わせてぴちっと合わせたさせたそれらの衣類は彼の皮膚の一部のようだった。カメレオンのようだったけれど。

だから、彼が色覚障害だとは気づかなかった。

でも思い返せば、免許を持っていなかったし、ツムツムも苦手としていた。多少の心当たりはある。

今思い返すと「おしゃれだね」という表現が彼にどう届いていたのかわからない。嬉しかったのか複雑な気分だったのか。

でも、彼は色の識別は苦手でも、私の識別を間違うこともなかったし、私の表情はちゃんと見えてくれていた。泣きそうな気分の時は「どうしたの」と言ってくれたし、イライラ話しかけないでくれていた。

私は彼の見ていた世界を見たいな、と思う。彼にとっては世界がどのように映っていたんだろうか。

彼に口説かれた時、酔っ払っていたふりをする必要なんてなかったんだな、と思う。「私、酔っ払って赤くない」と聞いた時に「赤くないよ」と言っていたのは、優しさだったのか、本心だったのか。

また会えることがあるならば聞いてみたい。