眠る前に読む小話

寝る前に1分ほどで読める小話です(フィクションとノンフィクションまぜこぜです。最近テクノロジーをテーマにしたものに凝ってます)。読者になっていただけると欣喜雀躍喜びます あとスターも励みになります!

Spotify

 「何を聞いているの」

私が勇気をもってきくと、彼がイヤホンを貸してくれた。耳にすると、なんだか軽快な音楽が流れてきた。

AmPmって知ってる?」

知らないと答えると彼が言う。

「日本人のアーティストだけど世界中で聞かれてるの。でも、覆面で、誰かわからないんだ」

へー、と思いながら、私はその音楽を聞く。日本ぽくないな、と思いながら。

「こういう音楽好きなの?」

「んー。こういう音楽だけじゃないけど、いろんな音楽を聞くのが好きなんだ」

私は日本の曲しか聞かないから、いろんな曲を聞いているミサキ君のことがすごいな、と思った。なんだか私の聞いている曲は恥ずかしいなと思った。だから、「どんな曲を聞いているの」と聞かれても「あんまり音楽聞かない。わからなくって」と答えた。

「そうだ。ササキさんってSpotifyつかってる?リスト共有するよ」

と、ミサキ君がいってくれた。Spotifyは、友達にすすめられて登録はしたけど、ほとんど聞いていなかった。確か音楽が聞けるアプリだ。でも、ミサキ君と何かが共有できるなら、もちろん断らない。

「あんまり使ってないけど、ぜひ!」

そうしてミサキ君は、ミサキ君の「favorite songs」というリストを共有してくれた。songじゃなくてsongsという複数形なのがかっこいいな、なんてことを思う。

それから私はミサキ君のリストを聞いた。よくわからなかったけど、ミサキ君の聞いている曲ならいい曲のような気がした。でも、歌詞は何をいっているかわからないので、検索して調べた。

30回くらい聞くと、どの曲も好きになってきた。リストに入っている曲の再生回数がみれた。少ないのだと2万回くらいだ。私が1日10回くらい聞いているから、私のせいで再生回数が増えてるんじゃないかと思った。ミサキ君に私が熱心に聞いているのがばれたらどうしよう。

また帰り道、ミサキ君と一緒になることがあった。

「この曲が好き」と好きな曲を言うと、「そうだろ。その曲いいんだよ」とミサキ君もいってくれた。Spotifyありがとう。

ある時、ミサキ君のリストに新しい曲が入っていた。エルトンジョンという人の「Your song」という曲だった。

皆に言っていいんだよ「これは私の歌なの」ってとってもシンプルな歌だけど、今出来たからさ

素敵な歌詞だった。もしミサキ君が私のためにこの曲を入れてくれたのかも、と思った。思い上がりかな。でも、いままでのミサキ君の入れてくれていたテンポの早い曲とは違う曲だから、なんだかそんなことを思ってしまう。

それから、ミサキ君と一緒に帰った帰り道の回数を思い出した。まだ30回は超えてないかな。音楽と同じで、たくさん一緒に帰ってるから好きになってくれてないかな。

次にあった時にいってみよう。「Your song」が今は一番好きだよ、って。