眠る前に読む小話

寝る前に1分ほどで読める小話です(フィクションとノンフィクションまぜこぜです。最近テクノロジーをテーマにしたものに凝ってます)。読者になっていただけると欣喜雀躍喜びます あとスターも励みになります!

lineおみくじ

もう幼い頃からの習慣で12日は家族で初詣にいく。車で30分ほどいった山の麓にある寺だ。かれこれ10年以上訪れているけど、そういえばなんのご利益がある神社かもしらないな。Wikipediaで調べればわかるのだろうけど、それで「増毛」とかの神社だったら嫌だもんな。知らぬが仏。寺だけに。

甥っ子たちはおみくじを買う。大吉だの中吉だのを喜ぶ。母親に「これどういう意味」と聞き、母親が「いいことあるってことだよ」と答える。かわいいものだな。「お兄ちゃんもおみくじする?」と聞かれ、「いらない」と答える。あんな原価10円くらいの紙切れに運命を左右されてたまるか。

そんなことを考えながら歩いているとLINEが届く。

大学時代の友人から届いたライン。中身は「LINEおみくじ」。ああ、2019年からLINEが始めたキャンペーンか。特定のスタンプを買うと、ともだちにおみくじを送れるというやつだ。

おみくじになんて気持ちを左右されたくない、と思いつつも、こんな能動的にアグレッシブにおみくじが懐に飛び込んできたら、開けざるを得ない。しかし、デジタルのおみくじって、すごいな。変動原価が0だものな。

少しドキドキしながら、そのおみくじを開くと「凶」と出た。思わず手が震える。気軽におみくじを開いてしまった自分の右手に苛立つし、何よりこんなおみくじを送ってきた友人にも腹が立つ。

昨年末に見かけた酔っぱらいの外国人の写真でも送り返して、友達も年始から不快な気分にしてあげようか。

しかし、こんな年始から友達同士の友情を壊す仕組みをよく思いついたな。こんな手軽に年始から人の気分を害するテクノロジーなんて、LINEおみくじかWindowsブルースクリーンくらいだぜ。

フィクションです(LINEおみくじは実在しますが)