眠る前に読む小話

寝る前に1分ほどで読める小話です(フィクションとノンフィクションまぜこぜです。最近テクノロジーをテーマにしたものに凝ってます)。読者になっていただけると欣喜雀躍喜びます あとスターも励みになります!

割り切れない2人 - paymo

 

Paymoがサービスを終了する。「2人の思い出も終了するのか」と思った。

彼女とは友達の紹介で出会った。5歳年上で、金融の仕事をする彼女。美味しいお店をたくさん知っていた。赤坂の中華、西麻布の寿司、四谷のフレンチ。

高いお店は、彼女がご馳走してくれた。「いつか俺が有名になったらごちそうするからね」といいながら、俺はその分、演劇の練習とアルバイトに励んだ。

安いお店は僕が出した。他にかかった費用はpaymoで割り勘をした。家で作るオムライスの卵代、2回もみたアカデミー賞受賞作の映画、朝食用のクロワッサン。

Paymoではそんな2人の割り勘ツールだった。たくさんの思い出が詰まっている。

別れは突然だった。「ごめん、好きな人ができたの」、そういって彼女は出ていった。「嫌だ」といったけれど、彼女は「ごめんなさい」というだけだった。

そして、僕には、Paymoでも割り切れない思いだけが残った。そして、彼女のpaymoのアカウントもなくなっているのを知った。

きっと、彼とは割り勘をしない仲なんだろうな、と思った。