寝る前に読む小話

寝る前に1分ほどで読める小話です(フィクションとノンフィクションまぜこぜです)。読者になっていただけると欣喜雀躍喜びます

昔の恋人との再会が持つ副作用

「変わってないね」

「ミキこそ変わってないね。むしろきれいになったよ」

そんな言葉が交わせるのは、大人の醍醐味の1つかもしれない。

昔の恋人と数年ぶりの再会。それはきっと若い頃にはなかなか経験できないことで。

「仕事は一緒のまま?」

「あの友達はどうなった?」

「あの家は引越したの?」

「最近、何してるの?」

空いた期間を埋める質問だけでもあっという間に時間は過ぎる。それはまるで、昔、読んでいたシリーズものの漫画の続きを聞いているような楽しさがあって。

「やりたいって言ってた部署に異動できたんだね」

「ああ、あの子、結局、夢を諦めたんだ」

「ついに舞踊始めたんだ」

と、あの頃の小さな約束の行く末を知ることができる。

ただ、この甘美な時間には副作用がある。きれいなバラには棘があるように楽しい時間には、反作用もついてくる。

それは

「もし、あのまま別れず関係を続けていたら、どうなっていたのか」

という想像を避けられないということだ。

あなたは、よりきれいになった恋人の幸せそうな顔を見て、今の彼女の隣にいる人に嫉妬するだろう。あるいは、あなたは、当時は頼りげがなかった彼氏が夢を叶えた姿を眩しく見るだろう。

あなたは再会の帰宅の時に、いつもより遠回りして家に帰るだろう。1つ前の駅で。

そして、帰り道にその日の再会を思い返し、自分が歩まなかった道を思い返すのだ。その副作用は、なかなか強烈で。

その覚悟がある人だけが、その甘美な再会を楽しめるのだろう。