眠る前に読む小話

寝る前に1分ほどで読める小話です(フィクションとノンフィクションまぜこぜです。最近テクノロジーをテーマにしたものに凝ってます)。読者になっていただけると欣喜雀躍喜びます あとスターも励みになります!

最後の登庁

知事として、最後の仕事は何だったんだろう、と知事は考えた。机の掃除かな。それならば、そこそこきれいに掃除ができたんじゃないかな、及第点だ、と考えた。

エレベーターに向かいながら知事は考える。

今回、どこで失敗したのだろう。海外出張費か。あれは、いずれにせよ、どこかのタイミングでは気づかれたので、避けようがなかったかもしれないな。まぁ高いというよね。ただ、それ以上の価値はあったと思うんだけどな。その説明をもう少し丁寧にできていればこんなことにならなかったのかな。

ゴーストライターがポンコツだったな。火に油を注いだだけだったじゃないか。なにが「トップが二流では恥ずかしいでしょう」でしょうだ。あんな発言すれば、怒るに決まってるだろ。小泉さんのスピーチしてたっていうから信頼してたのにまったく役立たずじゃないか。費用の返還を請求しようかな。うまくいった場合は対価を払うという契約にしておけばよかった。

エレベーターにノリながら知事は考える。

まぁでもよく頑張ったよね。ここで失敗しちゃったけど、俺の力量は結局、こんなもんだったのかもしれないな。むしろ今までよく頑張ったのかもしれない。リオが終わるまでは頑張りたかったけど、まぁ、しょうがないね。今更決まったことをくよくよしても。でも、これからどうしようかな。これから、他の人たちが失敗してからどうしたか調べないといけないな。政治家だと誰かな。ノックさんとか参考になるかもな、同じ芸人だしな。いま何してるんだろうな。LINEとかやってるのかな。そもそもご在名だっけな。しかしノックさんよりはましだろう、俺の方が。うむ。

もう俺も67か。頑張ったよ。もういいや。頑張った。あとはゆっくりしよう。あ、子供のことはケアしないと。日本だといじめられるだろうな。申し訳ない。海外に移住しようかな、それもいいよね。東京のMayorだかGovenerの子供だと泊もつくでしょう。東京のトップだよ。それはもう伯爵みたいなもんだよ。イギリスとかいいかもね

知事は都庁を出て社用車に乗りながら気づく

あ、最後の登庁だったのに、何か喋るの忘れた。原稿まで作ってたのに。考え事してたら周りの話が聞こえないのどうにかしたいよな。マスコミとかも服とか引っ張ってくれれば気づくのに。まぁいいや。帰って納豆食べよう。