眠る前に読む小話

寝る前に1分ほどで読める小話です(フィクションとノンフィクションまぜこぜです。最近テクノロジーをテーマにしたものに凝ってます)。読者になっていただけると欣喜雀躍喜びます あとスターも励みになります!

2017-01-01から1年間の記事一覧

花屋の花は見るためだけに使うものではない

花咲く花屋は今日も忙しい。 16時頃、お店に訪れたのは20歳後半の女性だった。スーツ姿がかっこいい。 「すいません、お花を探しているんですが」 - はい、どういうお花でしょう 「あのー。いいずらいんですが、相手を殴るための花ってありますか。花をそん…

返ってこないLINE

送らなければよかったかな、と反省した。 春の陽気に誘われてつい送ってしまった。LINEに取り消し機能があればいいのに。 既読の文字が肉肉しい。 「久しぶり。今度、飲まない?」 2年前の彼女に送った未練がましいメール。もう少し丁寧な送り方もあったと思…

女性1人で牛丼屋に入れますか

平日の夜、23時ごろ、最寄り駅から帰っていると、1人の女性いた。松屋の中を覗いている。 僕は遠目からそれを見ていて「入れ」と心で念じていた。女性は、牛丼屋に1人で入りにくいと言われている。でも、食事に男女なんて関係ないわけで、できれば女性が気に…

世界に借りがある

「まじか」と思わず声に出る。その声と一緒にでた息が白く濁る。 この寒さの中、こんな何もないところで自転車がパンク。これは辛い。 すっかり空気が抜けている。何かを踏んだようだ。とはいえ乗れるかな、と自転車に乗ってみるが、とてもじゃないが危険で…

食事は独りで?それともみんなと?

Netflix野武士のグルメお題「ひとり飯」 「独りで食事するよりも、みんなで食べた方が美味しい」なんて戯言が、世の中にまかり通っているのはなぜなんだ、とトオルが言う。 話をしながらの食事だと、食べ物の味がわからないじゃないか。あるいは、話が盛り上…

花粉症バスターズ

ゆみちゃんが花粉症みたいだ。僕は花粉症じゃないから辛さがわからないけれど、ゆみちゃんは「つらいよー」と言っている。 だから、僕はゆみちゃんを助けようと思った。でもこっそりする。こっそりしないと恥ずかしい。それにクラスのみんながうるさいから。…

開かない息子の携帯

ニュースで、亡くなった息子さんのiPad解除がAppleに拒否されたというニュースがありました。もっとも拒否されたわけではなく色々と手続きが必要という話のようですが。 それを聞いて、それは可哀想なことですが、それでも必要な書類を用意すれば開くことが…

サバイバルゲームは紳士のスポーツ?

サバイバルゲームは紳士のスポーツと言われる。 そもそもサバイバルゲームとは何か。代表的なルールはこのようなものだ。2つのチームに分かれ、相手の陣地にあるフラッグを取るゲーム。攻防では、モデルガンでBB弾を打ち合い、当たったら退場。お互い撃ち合…

シャーデンフロイデ

シャーデンフロイデという単語がある。ドイツ語で「他人の不幸を聞いた時に感じる喜び」を意味するそうだ。 Wikipediaには、 日本語で言う「ざまあみろ」の感情であり、日本でのシャーデンフロイデの類義語としては「隣(他人)の不幸は鴨(蜜)の味」、同義…

パーとなった航空券

ミキとの旅行がパーになった。 ハワイがパーに。 その事実を知ったのはニュースだ。ニュースでチケットを買った代理店の倒産が報道されていた。でも「なんとかなるだろう」と思っていた。でも、なんともならないことを昨日、知った。1%くらいしか返ってこな…

忖度してよ

「あ、違う」と気づいてしまった。いつもと違う。 彼女が僕の家から会社にでかける時、彼女は「いってきます」と出かける。その時に彼女は僕に軽くキスをして出かけていた。でも今日はそれがなかった。「たまたま」と見過ごしそうなソレだったけれど、そこか…

嫌いなものに好きなものを組み合わせる彼女

雨の日だけ彼女はココアを飲んだ。 どうして雨の日だけ飲むの、と僕は聞いた。 「ココアはカロリーが高いから太るんだよ。だから雨の日だけ飲むの。そうすると雨の日が少し楽しみになるでしょ」 彼女なりの処世術だった。嫌いな雨の日を好きになるための。そ…

見えない世界をみている彼ら

小学生の頃、「新しい発音って世の中にあるのかな」と考えたことがあった。 つまり50音で表現できない音だ。英語の授業で「ヴ」という発音を知って、「他にも、知らない発音があるんじゃないか」と思っての発想だった。 そして、自分でいろんな発音をしてみ…

2021年、愚痴が世界を席巻した

2021年、日本国民のストレス度は急速に高まっていった。経済成長の鈍化と少子化によるによる街の停滞感、それに伴う競争力の低下による賃金低下、オリンピックが終わったことによる脱力感。夢と希望を失った街は、世紀末さながらだった。 そうして、人の愚痴…

思い出のスタンスミス

その靴の名前は「スタンスミス」といった。 中学生の僕たちにとって、靴は「ナイキ」や「ニューバランス」とブランドで呼ぶのが一般的だった中にあって、スタンスミスはスタンスミスと呼ばれていた。アディダスとは呼ばれずに。 テニスプレーヤーのスタンレ…

SMSをLINEと教わった子供

お母さんから「これがラインよ」と教わったものが、「ラインじゃない」と気づいたのは、中学生になってからだった。 それまでぼくは、ショートメッセージをラインと教わってきた。テレビで緑のラインの画面がでた時に、僕が「あれライン?」と聞くと「あれは…

選べなかった青春の味

今更、東京ラブストーリーを見ていた。古き良き時代の月9の恋愛ドラマだ。 このような青春ドラマなどをみていると、いわゆる「胸が締め付けられる」ような気持ちになる。自分が選ぶことのできなかった眩しい選択肢を見せつけられて「自分の青春とは違う」と…

1985年はどういう年だった?

東京女子図鑑をAmazonプライムで見ていた。 一部で話題になっているドラマで、もともとは雑誌「東京カレンダー」の連載だったもの。それが人気でドラマ化された。 ストーリーを引用すると以下だ。 主人公・綾が23歳で上京してから40歳になるまで、東京だから…

バディ

道を歩いていると、女の子が歩いていた。母親と2人で。 女の子は大きめのぬいぐるみを持っていた。自分の身体の1/3くらいのぬいぐるみ。うさぎだろう。 それを大事に持ちながらてくてくと歩く。母親の歩くスピードに負けないように。 少しぬいぐるみを道にす…

思い出のC201H

特別お題「おもいでのケータイ」 最初に買った携帯はIDOのC201Hだったように思う。cdmaOne端末ということで鳴り物入りで登場した端末だ。音質が良いということで「携帯電話と気付かない!」という声も聞かれた。 その電話につけていたストラップが原因で僕は…

自撮りブームに潜む罠

ここ数年、自撮りのブームがどんどん加熱してきている。 FacebookやInstagramなどのソーシャルが台頭し、写真をあげる機会や場所、ニーズが高まった。人は行った場所で自撮りをし、承認欲求を満たす。 そのための道具も生まれた。まるでゴールドラッシュのジ…

笑顔

電車に乗っていた。前の座席に座っている人たちを見た。 みながみな、携帯かiPadを見ていた。1人は寝ていたけれど。 「携帯ばっかりみてる」なんてつまらないことは思わない。ぼーっと電車の天井を見ているよりも、スマートフォンで2chまとめでも読んでいた…

同僚とランチ

「何か食べたいのある?お肉だっけ」と僕は聞く。 「お肉いいですね。お肉いきましょう」と彼女は言う。 仕事でお世話になった同僚にお礼としてランチをごちそうすることになった。彼女のように「食べたいもの」がある人は助かるな、と思った。世の中の7割く…

いまいる場所を友達と共有するサービス「snapちょっと」

先日、以下の記事が話題になっていた。 »世界史サイトがすごい!紀元前4000年から、1年刻みで各国の国名と指導者が分かる! - Togetterまとめ 従来、世界史は「西洋」「中国」といった形で場所にフォーカスして歴史を学んでいた。そのため、ローマ帝国がある…

戦う君の歌

まるで自分を切り売りするかの女性がいる。 Twitterでシモネタなどの過激な発言をして注目を浴びる。あるいは、町中で奇抜な格好をして笑われる。彼氏に強がって振られてしまう。 彼女がどこまで意図してやっているのかわからない。恐らく半分はわざとで、半…

大人は秘密を守る

椎名林檎が作詞作曲した最新曲に「おとなの掟」という歌がある。ドラマカルテットの主題歌となっている歌で、歌うのは、ドラマの演者さんたちだ。 その最後のフレーズは おとなは秘密を守る というものである。 - そうだよなぁ と強く同意してしまう。大人は…

帰宅途中の家の灯り

いつも灯りが灯っている家があった。夏は窓を明けているからだろう。たまに笑い声も外に漏れてくることもあった。 男はその灯りが好きだった。 駅から遠い男の家。畑と空き家ばかりの帰り道。 そんな帰宅途中にあるその一軒家の灯りは、男にとっての灯台のよ…

ホワイトデーって、大変やデー

いやー、大変やで。えらいことや。何が大変やというとホワイトデーやで。ホワイトデーってなんでんねん。 調べたら、日本だけの習慣らしいな。お菓子やさんが仕掛けたんやて。商売うまいなー。やりよるわ。ただ、お陰様で、ホワイトデーって何をあげたらいい…

ひとつだけ忘れたいことを忘れる花

やさぐれて歩いていた。 なぜなら恋人と別れたからだ。恋人と別れた男は、例外なく、やさぐれてあるく。道端に落ちている空き缶を蹴飛ばすように。月に吠えるように。 すると、ぽつんと花屋さんを見かけた。普段ならあまり気にも留めないが、今日はそのまま…

終電かタクシーか

年度末だからか仕事が忙しい。忙しいからミスもしてしまう。すると更に忙しくなる。 そんなことで、毎日終電帰りが続く。終電を逃さないうちは、まだ大丈夫、となんとか自分に言い聞かせている。 でも、今日はとうとう終電を逃してしまった。そもそも、20時…