眠る前に読む小話

寝る前に1分ほどで読める小話です(フィクションとノンフィクションまぜこぜです。最近テクノロジーをテーマにしたものに凝ってます)。読者になっていただけると欣喜雀躍喜びます あとスターも励みになります!

できる経営者は去勢する

「Aの社長って、絶対に電車を乗らないんだって。なぜか知ってる?」

- 忙しいからじゃないの?

「それもあるかもしれないけど、忙しくなくても絶対電車は乗らないの。なぜかというと、電車に乗ると、競合に痴漢の冤罪などを仕組まれる恐れがあるからなんだって」

- なるほどね。仕掛け人が、その社長の横に立って「触られました!」って言えばいいからね。それが事実でなくても「疑いはかけられた」ということになるし。

似た話で、Bの社長は絶対に信号無視や信号のないところで道は渡らないって聞いたな。あとタクシーに乗る時は後部座席でも絶対にシートベルトするとか。いつどこで事故が起こるかわからないから。双日の副社長とかも事故だったしね。

「社長になると全社員の人生預かるからね。それくらい注意深くなった方がいいのかもね。」

- でもさ、その割には、よく色恋沙汰で揉めたりしてるよね。秘書と結婚したり、愛人のための子会社作ったり。

「隠し子がいたり、不倫されたって言われたり」

- 事故には気をつけるくせに、女性関係には脇が甘いよね。

やっぱり男女関係ってさ、リスクが高いんだよ。仕事だとインフルエンザのリスクを避けるためにはテレビ会議とかもできるけど、性行為はテレビ会議でできないじゃん。あとベッドの上は油断してるし。外交官の世界でも、『ハニートラップ研修』って実際にあるらしいよ

「じゃあ、恋愛に興味のない社長だったら安全だね」

-去勢するとか?

「昔の中国の宦官みたいに?いいかもね。うちの社長も女癖悪いし、今度の経営会議で提案しようよ。株価もあがる」

〜実際にその案は経営会議を可決し、社長は去勢することになった。

そして、その社長が『できる社長は去勢する』という本を出して、世の中は社長の去勢ブームになった。

しかし、その結果、去勢をした会社の業績は著しく悪化することになった。

なぜか?

結局、経営者のモチベーションは女性にモテることだったのだ。その目的がなくなった社長は抜け殻のようになったとさ。ちゃんちゃん。