眠る前に読む小話

寝る前に1分ほどで読める小話です(フィクションとノンフィクションまぜこぜです。最近テクノロジーをテーマにしたものに凝ってます)。読者になっていただけると欣喜雀躍喜びます あとスターも励みになります!

囚人が、刑務所の中で一番使いたいインターネットサービスは?

その独房に閉じ込められた囚人たちは時間が余っていた。なんせ労働以外、毎日は同じ日の繰り返しだ。新しい出来事も起こらない。同じ日が、同じ時間が過ぎていく。

ただ、変化もある。話がうまくなっていくのだ。

毎日、同じ話をするにつれ、話術が磨かれる。また、話題の着眼点が研ぎ澄まされる。

たとえば、こういう話だ。ある時は「おとぎ話の中で、一番犯罪をおかしたのは誰か」という自分を重ねた話題。あるいは、「死ぬ時に食べたいものは」といった切実なものまで。

ある日、「もし、刑務所の中でインターネットを使えるとしたら何を使う」という話題がでた。

ある男は答える。「Facebookは嫌だな。連れが楽しく遊んでいるのを見ると気分がめいっちまうよ」

ある男は言う。「流行りのTik tokはいいかもしれない。この独房でも合わせて踊れるし」

ある男は言う。「TwitterでIDで呼ばれるのは、なんか囚人番号みたいで嫌だな」

そして、ある男がいった。「俺はやっぱり、Instagramだよ」

- なんで?あんな美味しそうなものや、楽しそうな場所の写真をみたら、参っちまうよ

「違うんだ。Instagramは、青空が映ってるんだ。俺は空がみたい」