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寝る前に読む小話

寝る前に1分ほどで読める小話です(フィクションとノンフィクションまぜこぜです)。読者になっていただけると欣喜雀躍喜びます

男の香水はどう思う?

「男性の香水ってどう思う?」と、男が聞く。 女が答える。 「いい匂いだったらいいけど、きつすぎると嫌かな。あと甘い匂いとかは苦手かも」。 表参道の全部で30席ほどのイタリアン。店の端の6人がけのテーブルでその会話は繰り広げられる。 「柔軟剤の匂い…

食べ物を密度で選ぶ女

レイコは、サラダバーでトウモロコシやツナといった重いものばかりを取っていた。レタスやカイワレのような葉っぱものには見向きもせず。 ある時、「葉っぱが嫌いなの?」と聞いたことがある。レイコは言う。 「レタスとかは食べた気がしなくて。やっぱり密…

ズッキーニの茹で時間

はじめて会った時の自己紹介は「私、ズッキーニみたいって言われるんです」という言葉だった。 ズッキーニはウリ科の食べ物で蛋白な食べ物だ。かぼちゃなどに比べて味が薄い。それゆえに、どのような食材や料理にでもあう。 そんなズッキーニみたいに、誰と…

金曜日の過ごし方

会社の飲み会で、話は恋愛に向かう。 1人の男が懇意にする女性がいる。今まで3回ほど食事に行った。前回は金曜日のデートだった。しかし、何もできなかった。ようやく女性の過去の恋愛の話が話題にでた程度だ。 男はその女性が気になっている。しかし、女性…

お店にまつわるエピソードを巡る冒険

彼はレストランを選ぶのが好きだった。そして、選んだレストランに行くと、必ずお店にまつわるエピソードを話してくれた。 - この松見坂のバーは、歌手の福山さんがオーナーという噂があるんだよ。本当かどうか知らないけど、雰囲気のあるバーだよね。ユキち…

ホテルのバーへ行け

私が、ニューヨークに一週間の旅行をしていた時の話だ。 その時に、日本人のミチヨさんという方と出会った。同じ宿の部屋だったのだ。ダブルベッドが2個あるシンプルな部屋。いわゆるドミトリー。そこで私はミチヨさんと出会った。 カールスバーグを共用部の…

ブルゾンちえみのメッセージが持つパワー

「「ブルゾンちえみ」が圧倒的な支持を得た理由」という記事を読んで、ある友人の話を思い出した。 彼女はシングルマザーで娘がいる。13歳。思春期だ。 その娘とお風呂に入っていると、娘から教えられる。 「彼氏と別れた」と。付き合っていたというのは、数週…

野球部のマネージャーの彼氏は誰?

野球部のマネージャーで、アイコという女の子がいた。かわいい女の子だった。今の子たちには伝わらないかもしれないけれど、タッチのミナミのような、少し勝ち気のある女の子だった。 もう1人、タカコというマネージャーもいたけれど、彼女は男勝りなキャラ…

あなたは沈黙を楽しめる?

「沈黙を楽しめる人」と彼女は言った。 僕はその言葉がズシっと胸に響き、意図せずに沈黙を生み出してしまう。 それは、「どういう男性が好きなの」と聞いた質問の回答だった。よく聞くような「筋肉ある人」「背の高い人」「面白い人」とは違った回答だった…

結婚はポーカー?ルーレット?

「結婚て、Winner takes allじゃん。最後の総取りじゃん」 と、イーピンを切りながらタロウが言う。 「つまりさ、人生では何人かと恋愛するでしょ。でも、最後には1人の人としか結婚しない。少なくとも日本ではね。 そうすると最後に結婚した人だけが幸せで…

絶望とローズマリー

つまらない会食の店を出ると雨。朝の天気予報では雨なんて言っていなかったのに。傘はない。 お店の傘を借りて、お客さんをタクシーに乗せて見送る。そして、今日は、私もタクシーで帰ろう、と思う。 月曜日からくたくただから、少しの贅沢。領収書は通るか…

宮益御嶽神社にて

学校でなぜ手のつなぎ方を教えてくれないんだよ、と思った。微分やフランス革命よりも重要だろうよ。 今日は2回目のデート。渋谷のデート。電車で40分揺られて渋谷につく。 まずはセンター街を散歩。そして、そこから少しはずれたところにあるゲーセン。UFO…

自動運転は事故は防げても悪意は防げない

まさか、「そんな偶然が」という思いだった。 その日、私は、40代のお客さんの接客をしていた。自動運転カーの試乗をしてもらい、私は助手席で話をする。実際に乗ってもらって、購入を後押しする。 運転中に「ブレーキを我慢してみてください」という。信号…

革命は食事の後で

パスピエさんというアーティストの歌に「ヨアケマエ 」という歌がある。 その歌で、とてもセクシーな歌詞がある。 革命は食事のあとで というフレーズ。 文脈はよくわからない。ただ、そのフレーズ単体が持つパワーは圧倒的だ。 食事の後に行う革命。それは…

迫りくる尿意との戦い

「空気読めよ」と、これほど強く思ったことはない。 私は目で「トイレ行きたい、トイレ行きたい」とアイコンタクトを送る。すっと目線をトイレに送る。カウンター席の端にある扉に目を送る。 でもこいつは気にせずひたすら喋る。私に席を立つスキを与えない…

現代の幽玄

「幽玄っていう単語を使いたいの」と彼女は言う。 僕はコーヒーを一口すするふりをして、正解の回答を探す。なんと答えればいいんだ。 「幽玄ってどういう意味?」と僕は聞く。 彼女は嬉しそうな顔して説明を始める。どうやら正解だったようだ。 「幽玄って…

シワ

湯船で彼女が椎名林檎の歌を口ずさむ。 あなたはすぐに写真を撮りたがる あたしは何時も其れを厭がるの だって写真になっちゃえばあたしが古くなるじゃない いい歌詞だな、と思った。確かにな、と。 写真を撮ると、その写真の彼女は、過去の彼女だ。古い彼女…

沖縄の海

「自殺するくらいなら、全財産持ってラスベガスにいって一勝負して失敗してから考えればいいのに。勝てば自殺なんて考えなくなるだろうし」なんて不謹慎なことを小学生の頃に思ったことがある。 しかし、それから20年以上経って、ようやく理解する。死にたい…

桜の季節

ちょうど付き合い始めたのも桜の季節の頃だった。 その頃は散る桜に「これからの暑い季節」を予感し、散る桜にさえも心を踊らせたものだ。 でも状況が変われば桜の意味も変わる。別れ話の後では、散る桜が我々の関係性のように見えて切ない。 隣の女性をふと…

花見の席

もう少し早くくればよかった。 自分たちの花見の陣地は既に満席に近く、端しか空いてなかった。その端に座り、メンバーから配られたビールを飲む。 隣は大学からの友人の男性2人。大学時代で同じ時間を過ごした仲間だ。久しぶりでも、久しぶりの感覚を気にせ…

送られなかったメール

蒸発するように消える、という比喩は比喩でなかったんだ。ある日、帰ってきたら、その部屋にもう彼女の姿はなかった。 そこに、飲みかけの珈琲カップがあった。脱ぎっぱなしの靴下はなかったけど、財布や携帯はなくなっていた。 つまり、自発的に出ていった…

花屋の花は見るためだけに使うものではない

花咲く花屋は今日も忙しい。 16時頃、お店に訪れたのは20歳後半の女性だった。スーツ姿がかっこいい。 「すいません、お花を探しているんですが」 - はい、どういうお花でしょう 「あのー。いいずらいんですが、相手を殴るための花ってありますか。花をそん…

返ってこないLINE

送らなければよかったかな、と反省した。 春の陽気に誘われてつい送ってしまった。LINEに取り消し機能があればいいのに。 既読の文字が肉肉しい。 「久しぶり。今度、飲まない?」 2年前の彼女に送った未練がましいメール。もう少し丁寧な送り方もあったと思…

女性1人で牛丼屋に入れますか

平日の夜、23時ごろ、最寄り駅から帰っていると、1人の女性いた。松屋の中を覗いている。 僕は遠目からそれを見ていて「入れ」と心で念じていた。女性は、牛丼屋に1人で入りにくいと言われている。でも、食事に男女なんて関係ないわけで、できれば女性が気に…

世界に借りがある

「まじか」と思わず声に出る。その声と一緒にでた息が白く濁る。 この寒さの中、こんな何もないところで自転車がパンク。これは辛い。 すっかり空気が抜けている。何かを踏んだようだ。とはいえ乗れるかな、と自転車に乗ってみるが、とてもじゃないが危険で…

食事は独りで?それともみんなと?

Netflix野武士のグルメお題「ひとり飯」 「独りで食事するよりも、みんなで食べた方が美味しい」なんて戯言が、世の中にまかり通っているのはなぜなんだ、とトオルが言う。 話をしながらの食事だと、食べ物の味がわからないじゃないか。あるいは、話が盛り上…

花粉症バスターズ

ゆみちゃんが花粉症みたいだ。僕は花粉症じゃないから辛さがわからないけれど、ゆみちゃんは「つらいよー」と言っている。 だから、僕はゆみちゃんを助けようと思った。でもこっそりする。こっそりしないと恥ずかしい。それにクラスのみんながうるさいから。…

開かない息子の携帯

ニュースで、亡くなった息子さんのiPad解除がAppleに拒否されたというニュースがありました。もっとも拒否されたわけではなく色々と手続きが必要という話のようですが。 それを聞いて、それは可哀想なことですが、それでも必要な書類を用意すれば開くことが…

サバイバルゲームは紳士のスポーツ?

サバイバルゲームは紳士のスポーツと言われる。 そもそもサバイバルゲームとは何か。代表的なルールはこのようなものだ。2つのチームに分かれ、相手の陣地にあるフラッグを取るゲーム。攻防では、モデルガンでBB弾を打ち合い、当たったら退場。お互い撃ち合…

シャーデンフロイデ

シャーデンフロイデという単語がある。ドイツ語で「他人の不幸を聞いた時に感じる喜び」を意味するそうだ。 Wikipediaには、 日本語で言う「ざまあみろ」の感情であり、日本でのシャーデンフロイデの類義語としては「隣(他人)の不幸は鴨(蜜)の味」、同義…

パーとなった航空券

ミキとの旅行がパーになった。 ハワイがパーに。 その事実を知ったのはニュースだ。ニュースでチケットを買った代理店の倒産が報道されていた。でも「なんとかなるだろう」と思っていた。でも、なんともならないことを昨日、知った。1%くらいしか返ってこな…

忖度してよ

「あ、違う」と気づいてしまった。いつもと違う。 彼女が僕の家から会社にでかける時、彼女は「いってきます」と出かける。その時に彼女は僕に軽くキスをして出かけていた。でも今日はそれがなかった。「たまたま」と見過ごしそうなソレだったけれど、そこか…

嫌いなものに好きなものを組み合わせる彼女

雨の日だけ彼女はココアを飲んだ。 どうして雨の日だけ飲むの、と僕は聞いた。 「ココアはカロリーが高いから太るんだよ。だから雨の日だけ飲むの。そうすると雨の日が少し楽しみになるでしょ」 彼女なりの処世術だった。嫌いな雨の日を好きになるための。そ…

見えない世界をみている彼ら

小学生の頃、「新しい発音って世の中にあるのかな」と考えたことがあった。 つまり50音で表現できない音だ。英語の授業で「ヴ」という発音を知って、「他にも、知らない発音があるんじゃないか」と思っての発想だった。 そして、自分でいろんな発音をしてみ…

2021年、愚痴が世界を席巻した

2021年、日本国民のストレス度は急速に高まっていった。経済成長の鈍化と少子化によるによる街の停滞感、それに伴う競争力の低下による賃金低下、オリンピックが終わったことによる脱力感。夢と希望を失った街は、世紀末さながらだった。 そうして、人の愚痴…

思い出のスタンスミス

その靴の名前は「スタンスミス」といった。 中学生の僕たちにとって、靴は「ナイキ」や「ニューバランス」とブランドで呼ぶのが一般的だった中にあって、スタンスミスはスタンスミスと呼ばれていた。アディダスとは呼ばれずに。 テニスプレーヤーのスタンレ…

SMSをLINEと教わった子供

お母さんから「これがラインよ」と教わったものが、「ラインじゃない」と気づいたのは、中学生になってからだった。 それまでぼくは、ショートメッセージをラインと教わってきた。テレビで緑のラインの画面がでた時に、僕が「あれライン?」と聞くと「あれは…

選べなかった青春の味

今更、東京ラブストーリーを見ていた。古き良き時代の月9の恋愛ドラマだ。 このような青春ドラマなどをみていると、いわゆる「胸が締め付けられる」ような気持ちになる。自分が選ぶことのできなかった眩しい選択肢を見せつけられて「自分の青春とは違う」と…

1985年はどういう年だった?

東京女子図鑑をAmazonプライムで見ていた。 一部で話題になっているドラマで、もともとは雑誌「東京カレンダー」の連載だったもの。それが人気でドラマ化された。 ストーリーを引用すると以下だ。 主人公・綾が23歳で上京してから40歳になるまで、東京だから…

バディ

道を歩いていると、女の子が歩いていた。母親と2人で。 女の子は大きめのぬいぐるみを持っていた。自分の身体の1/3くらいのぬいぐるみ。うさぎだろう。 それを大事に持ちながらてくてくと歩く。母親の歩くスピードに負けないように。 少しぬいぐるみを道にす…

思い出のC201H

特別お題「おもいでのケータイ」 最初に買った携帯はIDOのC201Hだったように思う。cdmaOne端末ということで鳴り物入りで登場した端末だ。音質が良いということで「携帯電話と気付かない!」という声も聞かれた。 その電話につけていたストラップが原因で僕は…

自撮りブームに潜む罠

ここ数年、自撮りのブームがどんどん加熱してきている。 FacebookやInstagramなどのソーシャルが台頭し、写真をあげる機会や場所、ニーズが高まった。人は行った場所で自撮りをし、承認欲求を満たす。 そのための道具も生まれた。まるでゴールドラッシュのジ…

笑顔

電車に乗っていた。前の座席に座っている人たちを見た。 みながみな、携帯かiPadを見ていた。1人は寝ていたけれど。 「携帯ばっかりみてる」なんてつまらないことは思わない。ぼーっと電車の天井を見ているよりも、スマートフォンで2chまとめでも読んでいた…

同僚とランチ

「何か食べたいのある?お肉だっけ」と僕は聞く。 「お肉いいですね。お肉いきましょう」と彼女は言う。 仕事でお世話になった同僚にお礼としてランチをごちそうすることになった。彼女のように「食べたいもの」がある人は助かるな、と思った。世の中の7割く…

いまいる場所を友達と共有するサービス「snapちょっと」

先日、以下の記事が話題になっていた。 »世界史サイトがすごい!紀元前4000年から、1年刻みで各国の国名と指導者が分かる! - Togetterまとめ 従来、世界史は「西洋」「中国」といった形で場所にフォーカスして歴史を学んでいた。そのため、ローマ帝国がある…

戦う君の歌

まるで自分を切り売りするかの女性がいる。 Twitterでシモネタなどの過激な発言をして注目を浴びる。あるいは、町中で奇抜な格好をして笑われる。彼氏に強がって振られてしまう。 彼女がどこまで意図してやっているのかわからない。恐らく半分はわざとで、半…

大人は秘密を守る

椎名林檎が作詞作曲した最新曲に「おとなの掟」という歌がある。ドラマカルテットの主題歌となっている歌で、歌うのは、ドラマの演者さんたちだ。 その最後のフレーズは おとなは秘密を守る というものである。 - そうだよなぁ と強く同意してしまう。大人は…

帰宅途中の家の灯り

いつも灯りが灯っている家があった。夏は窓を明けているからだろう。たまに笑い声も外に漏れてくることもあった。 男はその灯りが好きだった。 駅から遠い男の家。畑と空き家ばかりの帰り道。 そんな帰宅途中にあるその一軒家の灯りは、男にとっての灯台のよ…

ホワイトデーって、大変やデー

いやー、大変やで。えらいことや。何が大変やというとホワイトデーやで。ホワイトデーってなんでんねん。 調べたら、日本だけの習慣らしいな。お菓子やさんが仕掛けたんやて。商売うまいなー。やりよるわ。ただ、お陰様で、ホワイトデーって何をあげたらいい…

ひとつだけ忘れたいことを忘れる花

やさぐれて歩いていた。 なぜなら恋人と別れたからだ。恋人と別れた男は、例外なく、やさぐれてあるく。道端に落ちている空き缶を蹴飛ばすように。月に吠えるように。 すると、ぽつんと花屋さんを見かけた。普段ならあまり気にも留めないが、今日はそのまま…