寝る前に読む小話

寝る前に1分ほどで読める小話です(フィクションとノンフィクションまぜこぜです)。読者になっていただけると欣喜雀躍喜びます

届いてしまったメール

年に1度だけメールをやりとりする人がいる。 年賀状ではない。お誕生のメールだ。相手の誕生日に僕がメールをして、僕の誕生日に相手がメールをする。1年に1度の往復。 そのフラジャイルで曖昧な関係は10年以上続いていた。 出会った頃のようにメールが届く…

合コンであったちょっと怖い話

今週のお題「ちょっとコワい話」 友達から「飲み会いかない」と言われる。よくあるコンパだが、今の時代「コンパ」なんて言わずに、飲み会という。 その日は特に予定もなかったし、何よりコンパは楽しい。昔はコンパは好きじゃなかった。女性全員と等分に話…

デートのお作法

「女性は、いろんなデートの仕方をしってるけど、男性は1つのデートのやり方しかしらないんだよ」 - どういうこと? 「デートは、だいたい男性がリードするじゃん。特に最初のデートは。 場所とか時間とか、お店とか。それに、待ち合わせをどこにするか、メ…

デートの思い出はいつも雨

晴れたらしたいことがたくさんあった。 ピクニック、お散歩、テラスでランチ。 昔の歌で「晴れたらいいね」という歌があったけれど、その歌を聞くと私はとても寂しくなる。 山へいこう次の日曜 という歌詞を聞いて、私は「晴れても、私は山にいけない」と悲…

パクチー理論

- 男はいい女を見たら、すぐに恋するじゃん。女は時間がかかるんだよ と、レイコが飲み会で言っていた。 そうかもな、と思った。 それをレイコは「パクチー理論」といっていた。 多くの人は最初はパクチーが苦手だ。ただ、ずっと食べ続けているといつしか好…

ルイボスティ

起きて「ここはどこだ」と思った。ああ、繁華街のラブホテルだ、と気づく。 クラブで出会った女の子とそのまま駆け込んだラブホテル。2軒が一杯で3軒目にようやく空いていた。少し高かったけど。 そして、気づけば、今だった。朝だった。僕と隣で寝ている彼…

お酒を飲めないから

飲みが嫌いだった。 みんな酔っ払う。同じ話をする。シモネタばかりする。オチのない話をする。 皆は酒を飲む。僕は飲めない。 でもお金は割り勘。僕はみなのお酒の分まで払う。彼らの肝臓を壊すための支払いをしているようなものだ。 世の中に不平等という…

父の呪い

小学二年生頃のことだったように思う。 私はその年頃にふさわしく公園や街を駆け回っていた。いま思い返せばよく車などとの接触事故をしなかったな、と思うけれど、いずれにせよ駆け回っていたのだ。 そして案の定、怪我をした。あの頃の怪我なんて日常みた…

退職の予兆

役職者にとって、社員が退職する予兆を見つけることは大事だ。 「辞める」と辞表がでた時には、もう遅い。その時には、その人の決意が固まってるから。だから、そうなる前に、ケアをすることが大事で。だから、「やめそう」と思ったら、面談を入れて悩みを聞…

テーブルを埋め尽くす飯

「テーブルの上に隙間なく料理を敷き詰めろ」というのが、いつもの男の指示だった。 日本最大手の代理店のエースである彼は、接待にも全力を尽くした。その1つがテーブルを埋め尽くす料理の準備だった。 「この前菜とこのメイン3種類と、この肉に、このチー…

S字クランク

教習所は出会いの場所といわれるけれど、まさか自分が恋に落ちると思っていなかった。 筆記の授業で何回か同じクラスになり、「かわいい子だな」と思っていただけだった。まさか自分からその子に話しかけられるなんて。 それは、実車練習の待合ベンチで座っ…

過去の面影

「性行為で、体内に射精されると、その人の精子が体内に残り、将来、子供を生んだ時にその精子の影響がある」といったホラーのような噂を聞いたことがあった。 そう考えると、大学生の時の彼や社会人1年目の彼の遺伝子が、今の私の子供に宿っていることにな…

歩みが遅い世界

TumblrというWebサービスがある。記事の投稿や写真の投稿などをできるプラットフォームだ。 このサイトで検索をして、検索結果がない場合、以前はキュートなコメントが表示された。 - とてもいい検索だ。でも、世界がまだ追いついていない といったような言…

重ねる年

5年ぶりの友人との再会。 「最近、近所に引っ越ししたんだよ。飲もうよ」と久しぶりいn連絡がきて。「ここで!」と送られてきた肉屋の店に向かう。 URLを見ると、昔の単価よりも1.5倍ほど高いお店。その金額感の伸び具合が自分の年齢の重ね具合に比例する。…

夜の匂い

夜0時。仕事帰り。たまたま空いていたホームのベンチに座る。 ベンチに座る大人になっちゃったな、なんてことを思いながらベンチに座る。携帯をいじる。Twitterを見ていると、隣の席に女性が座る。 そして、しばらくすると、女性が、シュっと、何かの音を立…

ファーストキスの呪い

無理やりキスをされた思い出というのは、なかなか消えてくれないものだ。特に、それがファーストキスならば尚更。 小学校4年生の頃だったと思う。よく遊んでいた公園に私たちはいた。4人だった。男の子2人と女の子2人。 前後の文脈は全然覚えていない。ただ…

パクチー

パクチーというへんてこな存在がいる。名前からしておかしい。パクチー。強烈な印象を残す。異国感が溢れすぎている。 実際に苦手な人も多い。タイに行くというと「パクチー大丈夫?」とさえも言われるほどだ。 私自身苦手だった。そもそもセロリも苦手だっ…

二軒目の前に

その日は会社の交流会だった。 10周年記念のパーティでホテルの会場を借りてのセレモニーだった。 帰り道、飲み足りない僕は同僚に連絡する。2人とも帰る方向が近いので、たまに一緒に帰ることはあったのだけれど、飲むのは初めてだった。 「どこにいる?飲…

そんなつまらないこと

飲みにいこう、と言ったら彼は驚いた顔をしていた。 そして少し間があいて「ぜひ」と笑顔で返ってきた いつもは彼からのお誘いばかりで、私から飲みに誘うなんて初めてだから、驚くのも当然かもしれない。仕事の打ち合わせは私からいつも予定を入れるけれど…

赤みさす頬

おしゃれな人だな、と思っていた。 緑のスーツやピンク色のシャツ。体型に合わせてぴちっと合わせたさせたそれらの衣類は彼の皮膚の一部のようだった。カメレオンのようだったけれど。 だから、彼が色覚障害だとは気づかなかった。 でも思い返せば、免許を持…

見えないものが見える人たち

「高校生時代は書道を頑張ってたよ」とミキが言う。 丁寧にモヒートを飲みながら。 「全国大会には何度か出たことがあるよ」 書道にも甲子園のように県大会があり、その先には、甲子園のような全国大会があるらしい。ミキは県大会でいつも1位か2位を競ってい…

機内にて

緊急時の避難方法を客室乗務員が説明してくれている。衝撃があると酸素マスクが飛び出てくるからつけろ、だって。恋して息ができない時も酸素マスクが出てきたらいいのに、と思う。 緊急避難の方法も丁寧に教えてくれる。それでも、好きな人に告白できない時…

エジプトで水浸しになったグレーのスーツ

エジプトでは失業率が非常に高まっている。若者では40%になるそうだ。その結果、私が経験したエジプトツアーの体験談をお話しよう。 そのツアーはプライベートツアーだった。つまり大勢の参加者で参加するツアーでなく、私達だけのツアーだった。というのも…

結婚に求められる能力

- 34までに結婚したいの と彼女は言う。 その時に、世の中の人はこう言うだろう - じゃあ出会いをもっと増やさないと。 合コンに行け、Pairsをしろ、結婚相談所を使え。 然り、然り。 出会いが増えれば、結婚相手と見つかる可能性は高まる。少なくとも、家で…

パンツのポケット

友達は、下着メーカーで働く。当たり前だけれど、自分の下着は全部そのメーカーのもので揃えている。 彼氏にも、そのメーカーのパンツをプレゼントしていた。クリスマスや誕生ではなく、仕事の打ち上げやご飯をごちそうになったささやかなお礼に、パンツをプ…

風に吹かれるドローン

ドローンを買った。子供が喜ぶと思ったからだ。 ゴールデンウィークに飛ばそうと思った。休みだから何か子供が喜ぶことをしたかった。 せっかくだから、ちゃんとしたドローンを買おうと思ったら3万円もした。高い。200g以下だから、無人航空機だ。 部屋で飛…

足りない匂い

久しぶりに大学に用事があった。卒業証書をもらう必要があったのだ。 事務所で証書をもらったついでに大学を歩く。5年ぶりの大学はあまり変わっていない。 中庭と生協、そして、食堂。人が少ないだけで何も変わっていない。 校舎に入ると、校舎の匂いがすっ…

アドバイス

なぁ、わかるだろ。 人はアドバイスを聞けないんだよ。 もうそういう仕組みになってる。そういう身体になってるんだよ。他人のアドバイスを聞いた殊勝なやつは周りにいるか?いないだろう。要はそういうことなんだよ。人はアドバイスを聞かない。何度でもい…

ゴールデンウィークの次の祝日

ゴールデンウィークが終わった。次の祝日は、7月17日だとか。つまり2ヶ月近く祝日はない。 なんたることか。 俺が総理大臣なら、6月に休み入れるね。だって、連休が終わって、休みのない日が続くなんて、精神衛生上、耐えれないでしょ。もちろん総理大臣に祝…

死にたくなった時は

10年前のことだ。 僕がお世話になった上司がいた。転職の報告に行くと、悲しみの言葉を一通りくれた。そして、激励の後に言ってくれた言葉が、年を経つごとに重みを増している。 死にたくなったら、美味いものを食って寝ろ 当時は、その言葉の意味がまだあま…

間に合わせます

大切な会議だった。 俺も含めたメンバーはその会議のために1ヶ月前から資料を準備していた。普通だと1週間前から手をつけるくらいだから、どれだけ重要視していたかがわかるだろう。 それでも直前はやっぱりドタバタする。社長確認で訂正が入ったり、クライ…

ユリという女

ユリと言った。素敵な名前だな、と思った。清純そうなその子にぴったりだった。 実際に彼女はお嬢様だった。百合の象徴である「純潔」を表すかのように、清く美しく育てられた。聖母マリアの花が百合というのも納得だ。 僕は彼女に一目惚れをして1年かかって…

ゴールデンウィークの旅行を検討していて気づいてしまった自分の気持ち

ゴールデンウィークらしい。タカオが「旅行いこっか」とLINEを送ってきた。 最近はお互いが仕事に忙しかったので、気を使ってだろう。最近はすれ違いが多くデートらしいデートも数ヶ月していない。会ったのさえ3週間前だ。 付き合って1年だが、旅行もしたこ…

祖母への殺意の動機

9歳の少年が、祖母を殺した。ナイフでの刺殺(死因は出血多量)だった。 9歳の少年は、その1ヶ月前に祖父を病気でなくしたばかりだった。少年はおじいちゃん子、おばあちゃん子だったから、号泣した。 周りの親戚たちが心配になるほどの号泣だった。葬式中、…

デジタルで表現されてしまう好意

写真が好きだった。街を撮った。自然を撮った。そして、人を撮った。 何より人を撮るのが好きだった。友達を撮り、飲み会でみんながはしゃいでいるシーンを撮り、そして恋人の日常を撮った。 ナオは、沖縄生まれらしくきりっとした顔つきで、写真映えする顔…

彼女が飲んでいたコーヒー

コーヒーが好きだった。だから、デートではよくカフェ巡りをした。 目黒川沿いのカフェや長野の山奥にある森林浴が気持ち良いカフェ、虎ノ門にできたビルの上空のカフェ、新橋の隠れカフェ。たくさんのカフェをメイとまわった。 僕は、そこで、カフェラテを…

グラスをあげておろすまで

先日、以下のようなツイートを見た。 ドトールでアイスコーヒーを注文して、受け取ると同時に返却口のほうへ歩きながら飲み干し、グラスを置いて「ごちそうさまでした」と言い去っていくサラリーマンを見た。グッときた。 — ウイ (@ui0723) 2017年3月8日 読…

失恋のプロ

ミユキは自分のことを「失恋のプロだ」と言っていた。少しの自嘲も込めて。 恋愛体質だからすぐに恋愛する。でも、その分、別れも多い。いままで20以上の別れを経験してきた。たいていにおいてミユキが振られてきた。 だから、「失恋には慣れてるの」という…

ハッピー!

ある繁華街から20分ほど離れた落ち着いた住宅街にあるビストロのお話。 そこを経営するのは、老夫婦の2人。50代かもしかすると60代かもしれない。目玉はオムライスで、半熟さが売りで890円。夜よりもランチの方が活気がある。テーブルが5席ほどの小さいお店…

男の香水はどう思う?

「男性の香水ってどう思う?」と、男が聞く。 女が答える。 「いい匂いだったらいいけど、きつすぎると嫌かな。あと甘い匂いとかは苦手かも」。 表参道の全部で30席ほどのイタリアン。店の端の6人がけのテーブルでその会話は繰り広げられる。 「柔軟剤の匂い…

食べ物を密度で選ぶ女

レイコは、サラダバーでトウモロコシやツナといった重いものばかりを取っていた。レタスやカイワレのような葉っぱものには見向きもせず。 ある時、「葉っぱが嫌いなの?」と聞いたことがある。レイコは言う。 「レタスとかは食べた気がしなくて。やっぱり密…

ズッキーニの茹で時間

はじめて会った時の自己紹介は「私、ズッキーニみたいって言われるんです」という言葉だった。 ズッキーニはウリ科の食べ物で蛋白な食べ物だ。かぼちゃなどに比べて味が薄い。それゆえに、どのような食材や料理にでもあう。 そんなズッキーニみたいに、誰と…

金曜日の過ごし方

会社の飲み会で、話は恋愛に向かう。 1人の男が懇意にする女性がいる。今まで3回ほど食事に行った。前回は金曜日のデートだった。しかし、何もできなかった。ようやく女性の過去の恋愛の話が話題にでた程度だ。 男はその女性が気になっている。しかし、女性…

お店にまつわるエピソードを巡る冒険

彼はレストランを選ぶのが好きだった。そして、選んだレストランに行くと、必ずお店にまつわるエピソードを話してくれた。 - この松見坂のバーは、歌手の福山さんがオーナーという噂があるんだよ。本当かどうか知らないけど、雰囲気のあるバーだよね。ユキち…

ホテルのバーへ行け

私が、ニューヨークに一週間の旅行をしていた時の話だ。 その時に、日本人のミチヨさんという方と出会った。同じ宿の部屋だったのだ。ダブルベッドが2個あるシンプルな部屋。いわゆるドミトリー。そこで私はミチヨさんと出会った。 カールスバーグを共用部の…

ブルゾンちえみのメッセージが持つパワー

「「ブルゾンちえみ」が圧倒的な支持を得た理由」という記事を読んで、ある友人の話を思い出した。 彼女はシングルマザーで娘がいる。13歳。思春期だ。 その娘とお風呂に入っていると、娘から教えられる。 「彼氏と別れた」と。付き合っていたというのは、数週…

野球部のマネージャーの彼氏は誰?

野球部のマネージャーで、アイコという女の子がいた。かわいい女の子だった。今の子たちには伝わらないかもしれないけれど、タッチのミナミのような、少し勝ち気のある女の子だった。 もう1人、タカコというマネージャーもいたけれど、彼女は男勝りなキャラ…

あなたは沈黙を楽しめる?

「沈黙を楽しめる人」と彼女は言った。 僕はその言葉がズシっと胸に響き、意図せずに沈黙を生み出してしまう。 それは、「どういう男性が好きなの」と聞いた質問の回答だった。よく聞くような「筋肉ある人」「背の高い人」「面白い人」とは違った回答だった…

結婚はポーカー?ルーレット?

「結婚て、Winner takes allじゃん。最後の総取りじゃん」 と、イーピンを切りながらタロウが言う。 「つまりさ、人生では何人かと恋愛するでしょ。でも、最後には1人の人としか結婚しない。少なくとも日本ではね。 そうすると最後に結婚した人だけが幸せで…

絶望とローズマリー

つまらない会食の店を出ると雨。朝の天気予報では雨なんて言っていなかったのに。傘はない。 お店の傘を借りて、お客さんをタクシーに乗せて見送る。そして、今日は、私もタクシーで帰ろう、と思う。 月曜日からくたくただから、少しの贅沢。領収書は通るか…