読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

寝る前に読む小話

寝る前に1分ほどで読める小話です(フィクションとノンフィクションまぜこぜです)。読者になっていただけると欣喜雀躍喜びます

くじ

サッカーの試合結果を予想するスポーツくじ「BIG」で、ランダムであるはずの予想結果が、2回続けて全く同じだったそうだ。 そんなニュースが騒がれていた。 くじで思い出すのは、小学生の頃だ。私は地元のお祭りに参加していた。屋台がでる否かのお祭りだ。 …

歩く財布

その男が、いつ財布を落としても、気づけば家の前に財布が置かれてあった。 ポケットを触って「あれ、ないな」と思っても、数日後には家の前に財布が置かれていた。 いつもそのように返ってくるから、男は「不思議だな」というのも思わずに、そういうものだ…

たっぷりのコーヒー

たっぷりのコーヒー、という表現は魅力的だ。セクシーでグラマラスで蠱惑的だ。 小説やドラマではよくみる表現で。特に海外のドラマでは「たっぷりのスタバのコーヒーをもって出社」なんてシーンは、セックス・アンド・ザ・シティやザ・スーツなどでも見かけ…

帰り道のコンビニで

女性が歩いている。トボトボと歩いている。 少し夕立の降った湿ったコンクリートの路地を、下を向きながら歩く。下を向きながら歩いているのには理由がある。仕事でミスをして怒られたからだ。先週も失敗したので二度目だ。社会人になって半年。まだ仕事には…

歯ぁ食いしばって、寝る

先日、ナインティナインの岡村隆史氏がこのような話をしていた。 キングコングの西野さんがInstagramで、セフレを募集していた。 彼はそれに驚く。何か意図があるんじゃないかと推察する。ただ同時に、羨ましいと考える。もしそのようにして素敵な方と出会え…

死にゆくための儀式

「人は無くしてから、その価値に気づく」というのは事実だろう。 今回も北朝鮮の指導者の兄弟の死に関して、多くの評価がメディアに溢れ、彼の死を悲しむ声が聞こえた。死ぬまでは、ほとんど表に出てこないのに、死ぬと急に表に出てくる美談。 これは常に繰…

走れ、走れ

なぁ、あんた知っとるか。テレビで見たんやけどな。こないだマラソン大会があったんや。岡山県かそこらで。小学生のマラソンや。 そんでな、みんな走ったんやけど、全員コースを間違えてたらしいわ。で、全員失格や。 そやけどな、1人だけ正しいコースを走っ…

マレーシアの空港で待ち合わせ

車の中で奴を待ちながら、考えていた。汗がじっとりとTシャツに染みる。 考えていたのは、「うまく殺せるだろうか」というよりも、「私はどう殺されるのか」ということだった。殺すのはうまくいくだろう。警戒心のない男を殺すことは造作ない。毒殺なんて小…

ちょこっと

「14日、仕事帰りに家に寄るね」とミサは言う。 ああ、14日。バレンタインのチョコをくれるのか、と僕は思う。 14日、仕事から帰って、家でパソコンをしているとインターホンが鳴る。ミサだ。「チョコなんだろうけど、チョコチョコ言うのもあれだから、ちょ…

泣きながらご飯食べたことある人は、生きていけます

あるドラマを見ていたら、「泣きながらご飯食べたことある人は、生きていけます」というセリフがあった。 いい言葉だな、とは思いつつも、ドラマの続きがあったので、その言葉を頭の隅においていた。ある時にバスに乗っていて、このセリフを思い出した。 - …

蓋に恋した男

先日、以下のニュースを見かけた。 »下水道の蓋に恋をして自慰行為した男性が逮捕 | ゴゴ通信 「下水道で自慰なんて!」と笑うことは容易い。あるいは、「公衆門前でするなんて!」と批難することは容易い。 しかし、もし、彼が本当にこの下水道の蓋に恋して…

唐揚げにレモンかける派?

女が台所で揚げ物をしている。男は、リビングのソファーに座って携帯をいじっている。 男が携帯でゲームを一段落させる頃には、揚げ物もあがる。 「ご飯できたよー」 女が唐揚げを皿に盛りテーブルに運ぶ。男もご飯をよそって、汁物を入れる。お箸も出す。 …

親の死とクリーニングと

広島を離れたのは18の時だった。東京の大学に行くことになり地元を離れた。 東京行きの新幹線はとても心細かったのを覚えている。小雨が振る寒い3月だった。 それから10年経った。新幹線の寂しさはなくなったけれど、その分、地元の記憶も薄れた。 帰郷する…

寒い夜だから

夏が好きだ。寒い冬は嫌いだ。 だから、今日みたいな寒い日は、とても嫌いだ。とっても嫌い。 ダウンジャケットのボタンを締めて、カシミア10%のマフラーを巻いて、駅から家へ急ぐ。こういう時に「駅チカに住めばよかった」なんてことを思う。先日、友達が…

孤独を紛らわせるために

風邪を引いた。その時に人は初めて孤独を痛感する。 普段は1人で気楽に生きる人も、風邪になった時に、1人の限界を知る。自分が倒れると、誰も自分を助けてくれないのだ、という事実に。リンゴを剥いてくれる人も風邪薬を戸棚から取ってくれる人もいない。自…

私は指輪を売っている

伊勢丹で指輪を売っている。ネックレスやピアスも売っているが、人気なのは指輪だ。数万円から10万円くらいのもの。伊勢丹でいえば、少し安めの価格帯かもしれない。 この仕事をしていると思うことがある。 「この仕事って他の人より幸せになるんだろうか、…

電車でポッキー

電車に乗っていた。昼だったので、そこまで混んでいない。電車というのは朝の通勤タイムと夜に帰宅時間に混むもので、他は空いているのだ。 人はまばら。そこで女性が1人、窓側に立っていた。大学生くらいだろうか。ジーンズに黒のダウン。黒髪のボブ。 その…

走り続ける山手線

日曜日の昼下がり、無印良品に行こうと思い、渋谷から山手線に乗った。有楽町の無印に行く予定だったのだ。 気持ち良い日差しが降り注ぐ中を山手線は走る。僕はiPhoneでニュースを見る。ニュースを10記事ほど読んだ時に - あれ と思った。恵比寿駅に着いてい…

冬の朝から逃げ出したくて

低血圧の私にとって、冬の朝は地獄だ。目覚ましは2つかける。iPhoneと目覚まし時計だ。iPhoneでも時間は5つ設定する。7時、7時5分、7時10分、7時12分、7時15分。7時15分で私はやっと朝と気づく。サーキット音やチャイムやマリンバなどが演奏を奏でる。幸せな…

鬼のいない家

節分の時期はいつも憂鬱になる。うちには鬼をする夫がいないから。 私が鬼のお面をかぶってもいいけれど、そうすると娘が頼れる人がいなくなる。そんなトラウマになるようなことは経験させたくない。 クリスマスだとまだいい。サンタは姿をみせる必要がない…

恵方巻きのノルマ

「コンビニ店員に恵方巻きのノルマ」というニュースを見た。バイトでも「今年は10本予約をとってこい」と言われて、予約が取れないと給料からその分を年引きされてしまうって。 実は私もコンビニ店員なので、そのニュースは他人事ではなかった。「そうそう、…

風の谷のフンザ

昨日の以下の記事の続き »ユートピア イスラマバードまでは羽田からカタール航空で向かった。途中でカタールで乗り換えて15時間の旅だ。カタールという響きが既にハワイやバンコクとは一線を画する雰囲気を醸し出している。 イスラマバードには、夜ついたの…

ユートピア

この世の中に「ユートピア」ってあるのか、と思った。サウナの名前ではなく、「楽園」という意味のユートピアだ。 楽園でもエルドラドでも呼び名はなんでもいい。ザナドゥでも、理想郷でもいい。 昔、コロンブスが目指した新天地。あるいは、お釈迦様が目指…

ディズニーの行列が嬉しくなる魔法

「ディズニーってさ、たまに行くと楽しいけど、でも並ぶのが嫌だよね」 「わかる。行列は辛いよね。特に夏だと。 じゃあ、いいことを教えてやろう。ディズニーの行列が嬉しくなる魔法だ」 「どういうこと?」 「この魔法をかけると『わぁ行列だー。うれしい…

ヨーグルト

なんだよ、とつぶやいている自分に気づいた。 悔しいので、久しぶりに湯船に湯を入れた。普段はシャワーだけれど、今日は湯船に浸かりたい。 湯が満杯になるのを待ちきれず湯船に飛び込んだ。そして、水の中に潜った。 ドボドボとお湯が入る音が流れる。べち…

鼻セレブ

嗚呼、鼻セレブを買ってしまいました。ちょっと風邪気味で鼻水が止まらなかったのです。 鼻セレブをご存知ない?それは、ちょっと大正すぎます。いま、セレブの最先端は、ジェット機でもなく別荘でもなくティッシュなのです。 ティッシュに金粉とトリュフが…

地名で遊ぶ

最初に東横線沿いに住んだ時にさ、全部の駅名を覚えようと思ったんだよ。英単語覚えるみたいに覚えたんだよ。でも2年も経つと全部忘れちゃった。駄目だね。 やっぱり町はイメージと結びつけて覚えなくちゃいけないよね。渋谷は坂が多いから「渋谷」みたいに…

空気を吸うのさえも嫌がる潔癖症の彼

潔癖症な人だった。 まず、電車の吊革を持てなかった。だから一緒に電車を乗る時には、彼を支えたものだ。 「公衆トイレではどうしてるの?」と聞いたら、お尻が便座につかないように浮かせているらしい。その時に私は、彼の太ももの筋肉が発達していた理由…

おにぎりカフェ

近所に「おにぎり屋さん」ができた。美味しいおにぎりを売っているお店だ。昆布とか、たらことか。なんだか気の利いた具の。1個200円くらいとお安い。 お米は、玄米と白米を選べる。ノリもしっとりしていて美味しい。きっと良いノリを使っているんだろうな、…

次回のランチ

会社を辞める人がいて、一緒にランチをした。 「なんで辞めるの、これからどうするの」といった定形的な質問を繰り返した。営業の仕事をしている彼女はキャリアアップのため、外資系の会社に移るそうだ。すごいな、という感嘆とともに、軽やかに会社を移れる…

その目の下にあるもの

同僚に「くまがひどいね」と言われた。 昨夜は寝るのが遅かったからだろう。期末は何かと慌ただしい。 トイレの鏡で自分のクマをまじまじと見たが「クマだなぁ」と思った。かわいくない。なんだかお化けみたいだ。そして疲れている感がすごい。 くまという名…

形容詞が言えない男

彼は形容詞が言えない人だった。 意図的というよりも、生得的に形容詞という概念を持っていないようだった。 たとえば、夏の暑い日には「暑い」と表現するのではなく、「スタバで涼んでいこう」と表現する人だった。試験後の徹夜明け「眠い」というのではな…

私は恋をする能力が欠けている

私は恋をしたことがない。 中学生や高校生の頃から、周りは"恋"というものにわーきゃーを言っていた。 - 誰々君と目があった - 誰々君と付き合うことになった - 誰々君と相性いいんだ いま考えれば、「目があっただけで喜ぶ」「男性の触ったハンカチを触って…

バスの最終停留所にある家に生まれて

私の家は、高校からバスに乗って30分乗った場所にあった。バスの最終停留所だった。 駅から歩いて帰るには遠いので、私は高校にバスに乗って通う日々だった。坂の多い町だから自転車はあまり乗らなかった。 バスのいい思い出はあまりない。寒い冬に待つバス…

全力父さん

父は手加減というものを知らなかった。常に全力だった。 母親は私によく言ったものだ。 「父さんが、あなたを『たかいたかい』とすると、あなたは2メートルは空に飛び上がっていた。母さんはそれ以来、お父さんに『たかいたかい』はさせなかったのよ」と。 …

叫び

※ちょっと怖い話系です。 「変な奴がいる」と思い、携帯から顔を上げた。変な声が聞こえたのだ。 その人は車両の真ん中あたりにいた。 女性のような長い髪の毛と赤いドレスを着た人が、何かを必死で叫んでいた。顔は見えないけれど、全身を震わせながら何か…

満員電車の解決方法

満員電車はもはや現代の町の病である。治る見込みのない病。オフピーク通勤が始まったところで、田園都市線の混雑は何も緩和されない。 しかし、2018年、ある鉄道会社が行った試みが時代を変えた。その試みによって、朝の満員電車が驚くほど解消された。それ…

食事中の携帯はマナー違反?

食事をしている時に携帯を見るのはマナーが悪いとされている。そのため、「品の良い女子」は、食事中は、携帯をカバンに入れたまま出さない。 テーブルの上においていると連絡がきた時に見てしまう。だから、「品の良い女子」は、カバンに携帯は入れたまま。…

雪の思い出

この週末、日本列島に強烈な寒波が訪れた。東京では、晴れているのに雪が降った。日本海側では大きな積雪となった。 テレビで雪のニュースを見る度に思い出すことがある。私の生まれ育った町の雪だ。 北陸のその町は、雪がよく振った。私が住んでいた町は山…

スマホを落としたくない場所ランキング

いまや誰も彼もスマホを持つ時代。猫も杓子もスマホである。正確には、猫もスマホは持たないし、杓子に至っては、スマホを持つ方法もないけれど、ともかく多くの人がスマホを持っている。 スマホを持っているということは、スマホを落とすということと表裏一…

アフリカの旅行者ノート

アフリカを旅行していると「旅行者ノート」というものがある。日本人がよく泊まる宿においてあるノートで、そこに旅行者たちが情報を書き残している。 ビザの情報や美味しいレストランの情報、あるいは、電車やバスの情報など。ビザの情報などはインターネッ…

雨の日

雨の日だった。 雨の日に、白のジーンズをはいている男性がいた。 その日は雨だから、足元が汚れる。白いジーンはなおさら汚れる。 それでも、彼は白いジーンズをはいていた。 わざわざ今日履かなくとも、と思うけれど、きっと彼なりのポリシーか、理由があ…

メニューと違うものがでてくるレストラン

その店では、頼んだメニューと違うものがでてきた。 そもそもはその店はメニューなんてなかった。座れば、何かが出て来るのだ。 「今日のあなたにおすすめ」という感じで、その人の雰囲気にあったものがでる。ただし、実際のところは「今日の買いすぎた食材…

炭酸抜きコーラ

普段は、「七夕に願いをなんて、非科学的な」とか思っているのに。いざ風邪をひくと、思わず「ネギを喉にまこうかな」と民間療法に助けを求めちゃったりする。 風邪を引くと、心が弱くなるのだ。 藁をもつかむ思いで、「これいいよ」という話に飛びついてし…

もしも無意識にテレポートしてしまったならば

子供の頃、「もしも、うっかりテレポーテーションをしてしまったらどうしよう」と不安に苛まれていた。 どこでもドアのような意識的な移動ではなく、無意識の移動だ。ふと気づいたら自分が知らない場所に移動している、とでもいうような。 もちろん、それが…

頑張ろう

年末にライブがあって参加した。 そこまで大きな箱ではなかったので、ミュージシャンとの距離は近く盛り上がった。内容に何の不満もなく終わった。 ただ、帰り道にふと思い出した。 終盤、ミュージシャンは「来年もがんばりましょー」と叫んでいた。そして、…

祈り

日本で生きていると、漢字を使った訓話を耳にすることがある。 たとえば、ある格闘技の先生は言う。 - 武道の武という字は「矛(ほこ)」を止める」と書く。すなわち、武道とは争いを止めるために手段であったのだ - 忍というのは、心の上に刀を置く、と書く…

誕生日なんておめでたくない

「お誕生日おめでとう」という言葉に違和感を感じていた。 そういうと、こじらせた「中二病」のように聞こえるけれど、僕にとっては、結構、重要なテーマであった。 どういうことか。 人は言う。「お誕生日おめでとう」と。それの「何がめでたい」のかがいま…

電気を消せる人、消せない人

世の中の人間が2種類に分けることができるとしったのは、20歳を超えてからだった。 その2種類とは、「電気を消せる人と消せない人」だ。 これは、いわゆる、母親が子供に言う「部屋を出る時は電気を消しなさい」「トイレは使わない時は電気を消して!」とい…

何に期待してるの

仕事からの帰り道。週末。時間は終電近く。 冷えたレンガ道を塞ぐように歩く4人。2人の男と2人の女。年齢は20代なかばだろうか。若いが、新卒に見えるほど新鮮さもない。 4人が固まりで歩いているところを見ると、グループだろう。同僚か、友達か、それ以外…