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寝る前に読む小話

寝る前に1分ほどで読める小話です(フィクションとノンフィクションまぜこぜです)。読者になっていただけると欣喜雀躍喜びます

2021年、愚痴が世界を席巻した

2021年、日本国民のストレス度は急速に高まっていった。経済成長の鈍化と少子化によるによる街の停滞感、それに伴う競争力の低下による賃金低下、オリンピックが終わったことによる脱力感。夢と希望を失った街は、世紀末さながらだった。 そうして、人の愚痴…

思い出のスタンスミス

その靴の名前は「スタンスミス」といった。 中学生の僕たちにとって、靴は「ナイキ」や「ニューバランス」とブランドで呼ぶのが一般的だった中にあって、スタンスミスはスタンスミスと呼ばれていた。アディダスとは呼ばれずに。 テニスプレーヤーのスタンレ…

SMSをLINEと教わった子供

お母さんから「これがラインよ」と教わったものが、「ラインじゃない」と気づいたのは、中学生になってからだった。 それまでぼくは、ショートメッセージをラインと教わってきた。テレビで緑のラインの画面がでた時に、僕が「あれライン?」と聞くと「あれは…

選べなかった青春の味

今更、東京ラブストーリーを見ていた。古き良き時代の月9の恋愛ドラマだ。 このような青春ドラマなどをみていると、いわゆる「胸が締め付けられる」ような気持ちになる。自分が選ぶことのできなかった眩しい選択肢を見せつけられて「自分の青春とは違う」と…

1985年はどういう年だった?

東京女子図鑑をAmazonプライムで見ていた。 一部で話題になっているドラマで、もともとは雑誌「東京カレンダー」の連載だったもの。それが人気でドラマ化された。 ストーリーを引用すると以下だ。 主人公・綾が23歳で上京してから40歳になるまで、東京だから…

バディ

道を歩いていると、女の子が歩いていた。母親と2人で。 女の子は大きめのぬいぐるみを持っていた。自分の身体の1/3くらいのぬいぐるみ。うさぎだろう。 それを大事に持ちながらてくてくと歩く。母親の歩くスピードに負けないように。 少しぬいぐるみを道にす…

思い出のC201H

特別お題「おもいでのケータイ」 最初に買った携帯はIDOのC201Hだったように思う。cdmaOne端末ということで鳴り物入りで登場した端末だ。音質が良いということで「携帯電話と気付かない!」という声も聞かれた。 その電話につけていたストラップが原因で僕は…

自撮りブームに潜む罠

ここ数年、自撮りのブームがどんどん加熱してきている。 FacebookやInstagramなどのソーシャルが台頭し、写真をあげる機会や場所、ニーズが高まった。人は行った場所で自撮りをし、承認欲求を満たす。 そのための道具も生まれた。まるでゴールドラッシュのジ…

笑顔

電車に乗っていた。前の座席に座っている人たちを見た。 みながみな、携帯かiPadを見ていた。1人は寝ていたけれど。 「携帯ばっかりみてる」なんてつまらないことは思わない。ぼーっと電車の天井を見ているよりも、スマートフォンで2chまとめでも読んでいた…

同僚とランチ

「何か食べたいのある?お肉だっけ」と僕は聞く。 「お肉いいですね。お肉いきましょう」と彼女は言う。 仕事でお世話になった同僚にお礼としてランチをごちそうすることになった。彼女のように「食べたいもの」がある人は助かるな、と思った。世の中の7割く…

いまいる場所を友達と共有するサービス「snapちょっと」

先日、以下の記事が話題になっていた。 »世界史サイトがすごい!紀元前4000年から、1年刻みで各国の国名と指導者が分かる! - Togetterまとめ 従来、世界史は「西洋」「中国」といった形で場所にフォーカスして歴史を学んでいた。そのため、ローマ帝国がある…

戦う君の歌

まるで自分を切り売りするかの女性がいる。 Twitterでシモネタなどの過激な発言をして注目を浴びる。あるいは、町中で奇抜な格好をして笑われる。彼氏に強がって振られてしまう。 彼女がどこまで意図してやっているのかわからない。恐らく半分はわざとで、半…

大人は秘密を守る

椎名林檎が作詞作曲した最新曲に「おとなの掟」という歌がある。ドラマカルテットの主題歌となっている歌で、歌うのは、ドラマの演者さんたちだ。 その最後のフレーズは おとなは秘密を守る というものである。 - そうだよなぁ と強く同意してしまう。大人は…

帰宅途中の家の灯り

いつも灯りが灯っている家があった。夏は窓を明けているからだろう。たまに笑い声も外に漏れてくることもあった。 男はその灯りが好きだった。 駅から遠い男の家。畑と空き家ばかりの帰り道。 そんな帰宅途中にあるその一軒家の灯りは、男にとっての灯台のよ…

ホワイトデーって、大変やデー

いやー、大変やで。えらいことや。何が大変やというとホワイトデーやで。ホワイトデーってなんでんねん。 調べたら、日本だけの習慣らしいな。お菓子やさんが仕掛けたんやて。商売うまいなー。やりよるわ。ただ、お陰様で、ホワイトデーって何をあげたらいい…

ひとつだけ忘れたいことを忘れる花

やさぐれて歩いていた。 なぜなら恋人と別れたからだ。恋人と別れた男は、例外なく、やさぐれてあるく。道端に落ちている空き缶を蹴飛ばすように。月に吠えるように。 すると、ぽつんと花屋さんを見かけた。普段ならあまり気にも留めないが、今日はそのまま…

終電かタクシーか

年度末だからか仕事が忙しい。忙しいからミスもしてしまう。すると更に忙しくなる。 そんなことで、毎日終電帰りが続く。終電を逃さないうちは、まだ大丈夫、となんとか自分に言い聞かせている。 でも、今日はとうとう終電を逃してしまった。そもそも、20時…

お腹が痛くなる呪われたスーツ

なぜこのスーツを着る時だけ、お腹が痛くなるんだろう、と思っていた。 4回目にお腹が痛くなった時は、思わず「このスーツは呪われているんだろうか」とさえも思った。こういう時、どこにお祓いにいけばいいんだろう?と検索さえもした(お寺がいくつか見つ…

恋人とのNDA(秘密保持契約)

付き合い始めた翌日に、「ねえ、NDA(秘密保持契約)を結びましょう」と彼女が言い出した時、最初は何を言っているのか理解でいなかった。NDAって、仕事でしか聞いたことがない。会社同士でお仕事をする時に、大切な情報などをお互い漏らさないように結ぶ契…

エレベーターの残り香

残り香に魅せられていた。 たまに自宅マンションのエレベーターで、その残り香があった。朝の出勤時や仕事から帰ってきた深夜に。甘く優しい香りで、仕事帰りにその匂いをかいだ時はとても癒やされたものだ。 そうして、僕はその香りに恋をしていった。こん…

「写ルンです」で撮ったもの

「写ルンです」が、いま改めて人気らしい。 あのフィルムの雰囲気が良いのだろう。当時、使っていた人間からすれば、手巻きや現像のメンドクサさは懲り懲りだが、若い者には、それ自体が新しく珍しいのだろう。 だから、温泉旅行に彼女が「写ルンです」を持…

to U

彼女と別れた理由は何だったのか。うまく思い出せないのは、「これ」という理由が明確にはなかったからだろう。 2年付き合うと、お互い倦怠感もでてくる。仕事で疲れている時はギスギスする。たまには喧嘩もする。かたや少し気になる人ができた。そうして、…

遅れる時計

インターネットのサービスを使う時に、「IDを決めてください」と言われる時がある。たとえば、「taro218」みたいなものだ。 そんな時に、ふと思い浮かぶ単語が「tokei(時計)」というキーワードだ。自分自身、時計にそこまで関心はないので「なぜ時計という…

呪いの言葉

世の中には、呪いの言葉がある。 その言葉を言われると、人は動きが止まるという言葉だ。言われた方は、その言葉に苦しみ、寝る前に思い出し、あるいはシャワーに入っている時に思い出し、ひどく憂鬱になる。その言葉は時には数十年に渡って、人を苦しめるだ…

僕らの高層マンション7日間戦争

空前絶後の高層マンションブームである。 先日は、「砂の塔〜知りすぎた隣人」という高層マンションを舞台にしたドラマが放送された。また湾岸エリアの高層マンションの値段もピークを迎えている(少し下り坂だけど)。 今日は、そのような高層マンションで…

か弱きもの、そなたの名前は花粉症

この世には2種類の人間がいる。 花粉症の者と花粉症でない者だ。 花粉症である者は、前世で不徳をしたかのような責め苦をこの世で味わうことになる。目のかゆみ、くしゃみ、止まらない鼻水。まるでボブスレーのように滑り続ける鼻水。鼻水のウイニングランは…

できる経営者は去勢する

「Aの社長って、絶対に電車を乗らないんだって。なぜか知ってる?」 - 忙しいからじゃないの? 「それもあるかもしれないけど、忙しくなくても絶対電車は乗らないの。なぜかというと、電車に乗ると、競合に痴漢の冤罪などを仕組まれる恐れがあるからなんだっ…

男は知らない

男は、こう思っている。 女は電車に座る時に、自然と足を閉じるものだって。 馬鹿でしょ。そんなわけないでしょ。力を入れて意識して閉じてるんです。ぐだーっと男が足を広げるのが自然なように、女性だって力を抜けばそうなるんです。同じ人間なんだから当…

Airbnbを使う人は、絵画にご注意

一週間、京都に行くことになった。AirbnBというサービスを使うことにしたんだ。 ホテル代わりに人の家を借りることができる。ホテルよりも安く借りれるそうだ。 良さそうな部屋を予約して、京都駅からそこに向かう。京都駅から少し歩いたけれど、部屋はきれ…

くじ

サッカーの試合結果を予想するスポーツくじ「BIG」で、ランダムであるはずの予想結果が、2回続けて全く同じだったそうだ。 そんなニュースが騒がれていた。 くじで思い出すのは、小学生の頃だ。私は地元のお祭りに参加していた。屋台がでる否かのお祭りだ。 …

歩く財布

その男が、いつ財布を落としても、気づけば家の前に財布が置かれてあった。 ポケットを触って「あれ、ないな」と思っても、数日後には家の前に財布が置かれていた。 いつもそのように返ってくるから、男は「不思議だな」というのも思わずに、そういうものだ…

たっぷりのコーヒー

たっぷりのコーヒー、という表現は魅力的だ。セクシーでグラマラスで蠱惑的だ。 小説やドラマではよくみる表現で。特に海外のドラマでは「たっぷりのスタバのコーヒーをもって出社」なんてシーンは、セックス・アンド・ザ・シティやザ・スーツなどでも見かけ…

帰り道のコンビニで

女性が歩いている。トボトボと歩いている。 少し夕立の降った湿ったコンクリートの路地を、下を向きながら歩く。下を向きながら歩いているのには理由がある。仕事でミスをして怒られたからだ。先週も失敗したので二度目だ。社会人になって半年。まだ仕事には…

歯ぁ食いしばって、寝る

先日、ナインティナインの岡村隆史氏がこのような話をしていた。 キングコングの西野さんがInstagramで、セフレを募集していた。 彼はそれに驚く。何か意図があるんじゃないかと推察する。ただ同時に、羨ましいと考える。もしそのようにして素敵な方と出会え…

死にゆくための儀式

「人は無くしてから、その価値に気づく」というのは事実だろう。 今回も北朝鮮の指導者の兄弟の死に関して、多くの評価がメディアに溢れ、彼の死を悲しむ声が聞こえた。死ぬまでは、ほとんど表に出てこないのに、死ぬと急に表に出てくる美談。 これは常に繰…

走れ、走れ

なぁ、あんた知っとるか。テレビで見たんやけどな。こないだマラソン大会があったんや。岡山県かそこらで。小学生のマラソンや。 そんでな、みんな走ったんやけど、全員コースを間違えてたらしいわ。で、全員失格や。 そやけどな、1人だけ正しいコースを走っ…

マレーシアの空港で待ち合わせ

車の中で奴を待ちながら、考えていた。汗がじっとりとTシャツに染みる。 考えていたのは、「うまく殺せるだろうか」というよりも、「私はどう殺されるのか」ということだった。殺すのはうまくいくだろう。警戒心のない男を殺すことは造作ない。毒殺なんて小…

ちょこっと

「14日、仕事帰りに家に寄るね」とミサは言う。 ああ、14日。バレンタインのチョコをくれるのか、と僕は思う。 14日、仕事から帰って、家でパソコンをしているとインターホンが鳴る。ミサだ。「チョコなんだろうけど、チョコチョコ言うのもあれだから、ちょ…

泣きながらご飯食べたことある人は、生きていけます

あるドラマを見ていたら、「泣きながらご飯食べたことある人は、生きていけます」というセリフがあった。 いい言葉だな、とは思いつつも、ドラマの続きがあったので、その言葉を頭の隅においていた。ある時にバスに乗っていて、このセリフを思い出した。 - …

蓋に恋した男

先日、以下のニュースを見かけた。 »下水道の蓋に恋をして自慰行為した男性が逮捕 | ゴゴ通信 「下水道で自慰なんて!」と笑うことは容易い。あるいは、「公衆門前でするなんて!」と批難することは容易い。 しかし、もし、彼が本当にこの下水道の蓋に恋して…

唐揚げにレモンかける派?

女が台所で揚げ物をしている。男は、リビングのソファーに座って携帯をいじっている。 男が携帯でゲームを一段落させる頃には、揚げ物もあがる。 「ご飯できたよー」 女が唐揚げを皿に盛りテーブルに運ぶ。男もご飯をよそって、汁物を入れる。お箸も出す。 …

親の死とクリーニングと

広島を離れたのは18の時だった。東京の大学に行くことになり地元を離れた。 東京行きの新幹線はとても心細かったのを覚えている。小雨が振る寒い3月だった。 それから10年経った。新幹線の寂しさはなくなったけれど、その分、地元の記憶も薄れた。 帰郷する…

寒い夜だから

夏が好きだ。寒い冬は嫌いだ。 だから、今日みたいな寒い日は、とても嫌いだ。とっても嫌い。 ダウンジャケットのボタンを締めて、カシミア10%のマフラーを巻いて、駅から家へ急ぐ。こういう時に「駅チカに住めばよかった」なんてことを思う。先日、友達が…

孤独を紛らわせるために

風邪を引いた。その時に人は初めて孤独を痛感する。 普段は1人で気楽に生きる人も、風邪になった時に、1人の限界を知る。自分が倒れると、誰も自分を助けてくれないのだ、という事実に。リンゴを剥いてくれる人も風邪薬を戸棚から取ってくれる人もいない。自…

私は指輪を売っている

伊勢丹で指輪を売っている。ネックレスやピアスも売っているが、人気なのは指輪だ。数万円から10万円くらいのもの。伊勢丹でいえば、少し安めの価格帯かもしれない。 この仕事をしていると思うことがある。 「この仕事って他の人より幸せになるんだろうか、…

電車でポッキー

電車に乗っていた。昼だったので、そこまで混んでいない。電車というのは朝の通勤タイムと夜に帰宅時間に混むもので、他は空いているのだ。 人はまばら。そこで女性が1人、窓側に立っていた。大学生くらいだろうか。ジーンズに黒のダウン。黒髪のボブ。 その…

走り続ける山手線

日曜日の昼下がり、無印良品に行こうと思い、渋谷から山手線に乗った。有楽町の無印に行く予定だったのだ。 気持ち良い日差しが降り注ぐ中を山手線は走る。僕はiPhoneでニュースを見る。ニュースを10記事ほど読んだ時に - あれ と思った。恵比寿駅に着いてい…

冬の朝から逃げ出したくて

低血圧の私にとって、冬の朝は地獄だ。目覚ましは2つかける。iPhoneと目覚まし時計だ。iPhoneでも時間は5つ設定する。7時、7時5分、7時10分、7時12分、7時15分。7時15分で私はやっと朝と気づく。サーキット音やチャイムやマリンバなどが演奏を奏でる。幸せな…

鬼のいない家

節分の時期はいつも憂鬱になる。うちには鬼をする夫がいないから。 私が鬼のお面をかぶってもいいけれど、そうすると娘が頼れる人がいなくなる。そんなトラウマになるようなことは経験させたくない。 クリスマスだとまだいい。サンタは姿をみせる必要がない…

恵方巻きのノルマ

「コンビニ店員に恵方巻きのノルマ」というニュースを見た。バイトでも「今年は10本予約をとってこい」と言われて、予約が取れないと給料からその分を年引きされてしまうって。 実は私もコンビニ店員なので、そのニュースは他人事ではなかった。「そうそう、…