寝る前に読む小話

寝る前に1分ほどで読める小話です(フィクションとノンフィクションまぜこぜです)。読者になっていただけると欣喜雀躍喜びます

革命は食事の後で

パスピエさんというアーティストの歌に「ヨアケマエ 」という歌がある。 その歌で、とてもセクシーな歌詞がある。 革命は食事のあとで というフレーズ。 文脈はよくわからない。ただ、そのフレーズ単体が持つパワーは圧倒的だ。 食事の後に行う革命。それは…

迫りくる尿意との戦い

「空気読めよ」と、これほど強く思ったことはない。 私は目で「トイレ行きたい、トイレ行きたい」とアイコンタクトを送る。すっと目線をトイレに送る。カウンター席の端にある扉に目を送る。 でもこいつは気にせずひたすら喋る。私に席を立つスキを与えない…

現代の幽玄

「幽玄っていう単語を使いたいの」と彼女は言う。 僕はコーヒーを一口すするふりをして、正解の回答を探す。なんと答えればいいんだ。 「幽玄ってどういう意味?」と僕は聞く。 彼女は嬉しそうな顔して説明を始める。どうやら正解だったようだ。 「幽玄って…

シワ

湯船で彼女が椎名林檎の歌を口ずさむ。 あなたはすぐに写真を撮りたがる あたしは何時も其れを厭がるの だって写真になっちゃえばあたしが古くなるじゃない いい歌詞だな、と思った。確かにな、と。 写真を撮ると、その写真の彼女は、過去の彼女だ。古い彼女…

沖縄の海

「自殺するくらいなら、全財産持ってラスベガスにいって一勝負して失敗してから考えればいいのに。勝てば自殺なんて考えなくなるだろうし」なんて不謹慎なことを小学生の頃に思ったことがある。 しかし、それから20年以上経って、ようやく理解する。死にたい…

桜の季節

ちょうど付き合い始めたのも桜の季節の頃だった。 その頃は散る桜に「これからの暑い季節」を予感し、散る桜にさえも心を踊らせたものだ。 でも状況が変われば桜の意味も変わる。別れ話の後では、散る桜が我々の関係性のように見えて切ない。 隣の女性をふと…

花見の席

もう少し早くくればよかった。 自分たちの花見の陣地は既に満席に近く、端しか空いてなかった。その端に座り、メンバーから配られたビールを飲む。 隣は大学からの友人の男性2人。大学時代で同じ時間を過ごした仲間だ。久しぶりでも、久しぶりの感覚を気にせ…

送られなかったメール

蒸発するように消える、という比喩は比喩でなかったんだ。ある日、帰ってきたら、その部屋にもう彼女の姿はなかった。 そこに、飲みかけの珈琲カップがあった。脱ぎっぱなしの靴下はなかったけど、財布や携帯はなくなっていた。 つまり、自発的に出ていった…

花屋の花は見るためだけに使うものではない

花咲く花屋は今日も忙しい。 16時頃、お店に訪れたのは20歳後半の女性だった。スーツ姿がかっこいい。 「すいません、お花を探しているんですが」 - はい、どういうお花でしょう 「あのー。いいずらいんですが、相手を殴るための花ってありますか。花をそん…

返ってこないLINE

送らなければよかったかな、と反省した。 春の陽気に誘われてつい送ってしまった。LINEに取り消し機能があればいいのに。 既読の文字が肉肉しい。 「久しぶり。今度、飲まない?」 2年前の彼女に送った未練がましいメール。もう少し丁寧な送り方もあったと思…

女性1人で牛丼屋に入れますか

平日の夜、23時ごろ、最寄り駅から帰っていると、1人の女性いた。松屋の中を覗いている。 僕は遠目からそれを見ていて「入れ」と心で念じていた。女性は、牛丼屋に1人で入りにくいと言われている。でも、食事に男女なんて関係ないわけで、できれば女性が気に…

世界に借りがある

「まじか」と思わず声に出る。その声と一緒にでた息が白く濁る。 この寒さの中、こんな何もないところで自転車がパンク。これは辛い。 すっかり空気が抜けている。何かを踏んだようだ。とはいえ乗れるかな、と自転車に乗ってみるが、とてもじゃないが危険で…

食事は独りで?それともみんなと?

Netflix野武士のグルメお題「ひとり飯」 「独りで食事するよりも、みんなで食べた方が美味しい」なんて戯言が、世の中にまかり通っているのはなぜなんだ、とトオルが言う。 話をしながらの食事だと、食べ物の味がわからないじゃないか。あるいは、話が盛り上…

花粉症バスターズ

ゆみちゃんが花粉症みたいだ。僕は花粉症じゃないから辛さがわからないけれど、ゆみちゃんは「つらいよー」と言っている。 だから、僕はゆみちゃんを助けようと思った。でもこっそりする。こっそりしないと恥ずかしい。それにクラスのみんながうるさいから。…

開かない息子の携帯

ニュースで、亡くなった息子さんのiPad解除がAppleに拒否されたというニュースがありました。もっとも拒否されたわけではなく色々と手続きが必要という話のようですが。 それを聞いて、それは可哀想なことですが、それでも必要な書類を用意すれば開くことが…

サバイバルゲームは紳士のスポーツ?

サバイバルゲームは紳士のスポーツと言われる。 そもそもサバイバルゲームとは何か。代表的なルールはこのようなものだ。2つのチームに分かれ、相手の陣地にあるフラッグを取るゲーム。攻防では、モデルガンでBB弾を打ち合い、当たったら退場。お互い撃ち合…

シャーデンフロイデ

シャーデンフロイデという単語がある。ドイツ語で「他人の不幸を聞いた時に感じる喜び」を意味するそうだ。 Wikipediaには、 日本語で言う「ざまあみろ」の感情であり、日本でのシャーデンフロイデの類義語としては「隣(他人)の不幸は鴨(蜜)の味」、同義…

パーとなった航空券

ミキとの旅行がパーになった。 ハワイがパーに。 その事実を知ったのはニュースだ。ニュースでチケットを買った代理店の倒産が報道されていた。でも「なんとかなるだろう」と思っていた。でも、なんともならないことを昨日、知った。1%くらいしか返ってこな…

忖度してよ

「あ、違う」と気づいてしまった。いつもと違う。 彼女が僕の家から会社にでかける時、彼女は「いってきます」と出かける。その時に彼女は僕に軽くキスをして出かけていた。でも今日はそれがなかった。「たまたま」と見過ごしそうなソレだったけれど、そこか…

嫌いなものに好きなものを組み合わせる彼女

雨の日だけ彼女はココアを飲んだ。 どうして雨の日だけ飲むの、と僕は聞いた。 「ココアはカロリーが高いから太るんだよ。だから雨の日だけ飲むの。そうすると雨の日が少し楽しみになるでしょ」 彼女なりの処世術だった。嫌いな雨の日を好きになるための。そ…

見えない世界をみている彼ら

小学生の頃、「新しい発音って世の中にあるのかな」と考えたことがあった。 つまり50音で表現できない音だ。英語の授業で「ヴ」という発音を知って、「他にも、知らない発音があるんじゃないか」と思っての発想だった。 そして、自分でいろんな発音をしてみ…

2021年、愚痴が世界を席巻した

2021年、日本国民のストレス度は急速に高まっていった。経済成長の鈍化と少子化によるによる街の停滞感、それに伴う競争力の低下による賃金低下、オリンピックが終わったことによる脱力感。夢と希望を失った街は、世紀末さながらだった。 そうして、人の愚痴…

思い出のスタンスミス

その靴の名前は「スタンスミス」といった。 中学生の僕たちにとって、靴は「ナイキ」や「ニューバランス」とブランドで呼ぶのが一般的だった中にあって、スタンスミスはスタンスミスと呼ばれていた。アディダスとは呼ばれずに。 テニスプレーヤーのスタンレ…

SMSをLINEと教わった子供

お母さんから「これがラインよ」と教わったものが、「ラインじゃない」と気づいたのは、中学生になってからだった。 それまでぼくは、ショートメッセージをラインと教わってきた。テレビで緑のラインの画面がでた時に、僕が「あれライン?」と聞くと「あれは…

選べなかった青春の味

今更、東京ラブストーリーを見ていた。古き良き時代の月9の恋愛ドラマだ。 このような青春ドラマなどをみていると、いわゆる「胸が締め付けられる」ような気持ちになる。自分が選ぶことのできなかった眩しい選択肢を見せつけられて「自分の青春とは違う」と…

1985年はどういう年だった?

東京女子図鑑をAmazonプライムで見ていた。 一部で話題になっているドラマで、もともとは雑誌「東京カレンダー」の連載だったもの。それが人気でドラマ化された。 ストーリーを引用すると以下だ。 主人公・綾が23歳で上京してから40歳になるまで、東京だから…

バディ

道を歩いていると、女の子が歩いていた。母親と2人で。 女の子は大きめのぬいぐるみを持っていた。自分の身体の1/3くらいのぬいぐるみ。うさぎだろう。 それを大事に持ちながらてくてくと歩く。母親の歩くスピードに負けないように。 少しぬいぐるみを道にす…

思い出のC201H

特別お題「おもいでのケータイ」 最初に買った携帯はIDOのC201Hだったように思う。cdmaOne端末ということで鳴り物入りで登場した端末だ。音質が良いということで「携帯電話と気付かない!」という声も聞かれた。 その電話につけていたストラップが原因で僕は…

自撮りブームに潜む罠

ここ数年、自撮りのブームがどんどん加熱してきている。 FacebookやInstagramなどのソーシャルが台頭し、写真をあげる機会や場所、ニーズが高まった。人は行った場所で自撮りをし、承認欲求を満たす。 そのための道具も生まれた。まるでゴールドラッシュのジ…

笑顔

電車に乗っていた。前の座席に座っている人たちを見た。 みながみな、携帯かiPadを見ていた。1人は寝ていたけれど。 「携帯ばっかりみてる」なんてつまらないことは思わない。ぼーっと電車の天井を見ているよりも、スマートフォンで2chまとめでも読んでいた…

同僚とランチ

「何か食べたいのある?お肉だっけ」と僕は聞く。 「お肉いいですね。お肉いきましょう」と彼女は言う。 仕事でお世話になった同僚にお礼としてランチをごちそうすることになった。彼女のように「食べたいもの」がある人は助かるな、と思った。世の中の7割く…

いまいる場所を友達と共有するサービス「snapちょっと」

先日、以下の記事が話題になっていた。 »世界史サイトがすごい!紀元前4000年から、1年刻みで各国の国名と指導者が分かる! - Togetterまとめ 従来、世界史は「西洋」「中国」といった形で場所にフォーカスして歴史を学んでいた。そのため、ローマ帝国がある…

戦う君の歌

まるで自分を切り売りするかの女性がいる。 Twitterでシモネタなどの過激な発言をして注目を浴びる。あるいは、町中で奇抜な格好をして笑われる。彼氏に強がって振られてしまう。 彼女がどこまで意図してやっているのかわからない。恐らく半分はわざとで、半…

大人は秘密を守る

椎名林檎が作詞作曲した最新曲に「おとなの掟」という歌がある。ドラマカルテットの主題歌となっている歌で、歌うのは、ドラマの演者さんたちだ。 その最後のフレーズは おとなは秘密を守る というものである。 - そうだよなぁ と強く同意してしまう。大人は…

帰宅途中の家の灯り

いつも灯りが灯っている家があった。夏は窓を明けているからだろう。たまに笑い声も外に漏れてくることもあった。 男はその灯りが好きだった。 駅から遠い男の家。畑と空き家ばかりの帰り道。 そんな帰宅途中にあるその一軒家の灯りは、男にとっての灯台のよ…

ホワイトデーって、大変やデー

いやー、大変やで。えらいことや。何が大変やというとホワイトデーやで。ホワイトデーってなんでんねん。 調べたら、日本だけの習慣らしいな。お菓子やさんが仕掛けたんやて。商売うまいなー。やりよるわ。ただ、お陰様で、ホワイトデーって何をあげたらいい…

ひとつだけ忘れたいことを忘れる花

やさぐれて歩いていた。 なぜなら恋人と別れたからだ。恋人と別れた男は、例外なく、やさぐれてあるく。道端に落ちている空き缶を蹴飛ばすように。月に吠えるように。 すると、ぽつんと花屋さんを見かけた。普段ならあまり気にも留めないが、今日はそのまま…

終電かタクシーか

年度末だからか仕事が忙しい。忙しいからミスもしてしまう。すると更に忙しくなる。 そんなことで、毎日終電帰りが続く。終電を逃さないうちは、まだ大丈夫、となんとか自分に言い聞かせている。 でも、今日はとうとう終電を逃してしまった。そもそも、20時…

お腹が痛くなる呪われたスーツ

なぜこのスーツを着る時だけ、お腹が痛くなるんだろう、と思っていた。 4回目にお腹が痛くなった時は、思わず「このスーツは呪われているんだろうか」とさえも思った。こういう時、どこにお祓いにいけばいいんだろう?と検索さえもした(お寺がいくつか見つ…

恋人とのNDA(秘密保持契約)

付き合い始めた翌日に、「ねえ、NDA(秘密保持契約)を結びましょう」と彼女が言い出した時、最初は何を言っているのか理解でいなかった。NDAって、仕事でしか聞いたことがない。会社同士でお仕事をする時に、大切な情報などをお互い漏らさないように結ぶ契…

エレベーターの残り香

残り香に魅せられていた。 たまに自宅マンションのエレベーターで、その残り香があった。朝の出勤時や仕事から帰ってきた深夜に。甘く優しい香りで、仕事帰りにその匂いをかいだ時はとても癒やされたものだ。 そうして、僕はその香りに恋をしていった。こん…

「写ルンです」で撮ったもの

「写ルンです」が、いま改めて人気らしい。 あのフィルムの雰囲気が良いのだろう。当時、使っていた人間からすれば、手巻きや現像のメンドクサさは懲り懲りだが、若い者には、それ自体が新しく珍しいのだろう。 だから、温泉旅行に彼女が「写ルンです」を持…

to U

彼女と別れた理由は何だったのか。うまく思い出せないのは、「これ」という理由が明確にはなかったからだろう。 2年付き合うと、お互い倦怠感もでてくる。仕事で疲れている時はギスギスする。たまには喧嘩もする。かたや少し気になる人ができた。そうして、…

遅れる時計

インターネットのサービスを使う時に、「IDを決めてください」と言われる時がある。たとえば、「taro218」みたいなものだ。 そんな時に、ふと思い浮かぶ単語が「tokei(時計)」というキーワードだ。自分自身、時計にそこまで関心はないので「なぜ時計という…

呪いの言葉

世の中には、呪いの言葉がある。 その言葉を言われると、人は動きが止まるという言葉だ。言われた方は、その言葉に苦しみ、寝る前に思い出し、あるいはシャワーに入っている時に思い出し、ひどく憂鬱になる。その言葉は時には数十年に渡って、人を苦しめるだ…

僕らの高層マンション7日間戦争

空前絶後の高層マンションブームである。 先日は、「砂の塔〜知りすぎた隣人」という高層マンションを舞台にしたドラマが放送された。また湾岸エリアの高層マンションの値段もピークを迎えている(少し下り坂だけど)。 今日は、そのような高層マンションで…

か弱きもの、そなたの名前は花粉症

この世には2種類の人間がいる。 花粉症の者と花粉症でない者だ。 花粉症である者は、前世で不徳をしたかのような責め苦をこの世で味わうことになる。目のかゆみ、くしゃみ、止まらない鼻水。まるでボブスレーのように滑り続ける鼻水。鼻水のウイニングランは…

できる経営者は去勢する

「Aの社長って、絶対に電車を乗らないんだって。なぜか知ってる?」 - 忙しいからじゃないの? 「それもあるかもしれないけど、忙しくなくても絶対電車は乗らないの。なぜかというと、電車に乗ると、競合に痴漢の冤罪などを仕組まれる恐れがあるからなんだっ…

男は知らない

男は、こう思っている。 女は電車に座る時に、自然と足を閉じるものだって。 馬鹿でしょ。そんなわけないでしょ。力を入れて意識して閉じてるんです。ぐだーっと男が足を広げるのが自然なように、女性だって力を抜けばそうなるんです。同じ人間なんだから当…

Airbnbを使う人は、絵画にご注意

一週間、京都に行くことになった。AirbnBというサービスを使うことにしたんだ。 ホテル代わりに人の家を借りることができる。ホテルよりも安く借りれるそうだ。 良さそうな部屋を予約して、京都駅からそこに向かう。京都駅から少し歩いたけれど、部屋はきれ…